白人至上主義とトランプ大統領 世界に拡がるテロ、再選の障害になるか

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◆白人至上主義者の動向が大統領選に与える影響
 こういった白人至上主義者による連鎖的かつグローバルな動向に、トランプ大統領はどう向き合っていくのだろうか。エルパソの事件後、米当局は同事件をテロとして扱う方向に軌道修正し、FBIはフェイスブックやツイッターなど大手IT企業と協力して、イスラム過激テロと同じように、白人至上主義的なテロの動向の監視を強化しようとしている。クライストチャーチでのテロ事件を機に、ニュージーランドや英国など欧米諸国でも白人至上主義者を取り締まる動きが強まっている。

 2016年の大統領選のときから、トランプ大統領は移民・難民に対して厳しい姿勢を貫き、彼らの排斥を主張する白人至上主義的な動向には目を逸らしてきた。来年の大統領選において、民主党はエルパソの事件などを例に移民・難民政策でいままで以上に共和党へ攻勢を強めるだろう。トランプ大統領は、白人票を取り入れることで前回の大統領選に勝利した。しかし、今後の選挙戦のなかでこれは大きなイシューになるかもしれない。

Text by 和田大樹