白人至上主義とトランプ大統領 世界に拡がるテロ、再選の障害になるか

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 トランプ政権の米国になっていから、2017年の朝鮮危機や米中貿易摩擦、イラン危機など、世界はトランプ大統領の行動に翻弄されている。トランプ氏にとって、今後の最重要イベントは来年11月の米大統領選挙だ。それに勝利すべく、3度にわたる米朝首脳会談などを外交実績として誇らしげにアピールしてくることだろう。現在の対中強硬姿勢やホルムズ危機は、トランプ氏にとって外交実績の材料ともいえる。しかし、今後の選挙戦を見据えると、大きな問題も見えてくる。それは、世界各地で目立ち始めた白人至上主義者の動向だ。

◆欧米諸国で多発、白人至上主義テロ
 近年、欧米諸国ではイスラム過激派関連のテロが数としては減少する一方、白人至上主義テロは増加している。たとえば、米国メリーランド大学のテロ研究機関STARTのデータによると、北米と欧州、豪州で発生した白人至上主義者によるテロ事件は、2011年から2014年まで9件、12件、16件、22件だったのに対し、2015年は135件と一気に跳ね上がり、2016年は65件、2017年は88件と増加傾向にある。

                                                                                                                 

 今年3月、反イスラム主義を掲げる白人至上主義者の男が、クライストチャーチ市内にあるイスラム教モスク2ヶ所を相次いで銃で襲撃し、イスラム教徒ら50人以上を殺害した。その後逮捕された男は、2017年に欧州を訪れた際に白人の国が移民・難民に侵略されていると危機感を抱いたことが犯行の動機だったとしている。また、この男は事件直前に発信したマニフェスト「Great Replacement(偉大なる交代)」のなかで強い反イスラム、反移民感情を示し、移民へ寛容な政策をとっているとして、ドイツのメルケル首相やトルコのエルドアン大統領、ロンドンのサディク・カーン市長を非難し、厳しい移民政策を貫くトランプ大統領を、「白人至上主義のシンボル」と称賛した。

 そして、8月3日、今度はメキシコとの国境に近い南部テキサス州のエルパソで、白人至上主義の男がショッピングモールで無差別に銃を乱射し、メキシコ人8人を含む22人を殺害した。男は、エルパソから約1000キロも離れたダラス近郊に住む20代で、メキシコ移民を殺害するためにわざわざエルパソまで来たという。また、同月12日にも、ノルウェー・オスロ近くのモスクを白人至上主義に染まる白人の男が銃を持って襲撃した。男は礼拝中のイスラム教徒を狙っていたとされるが、幸いなことに死亡者は出なかった。男は事前にネット上にマニフェストを投稿し、クライストチャーチやエルパソの事件の容疑者から強い影響を受けたと言及している。

Text by 和田大樹