日本政府の無理解が仇に? 国連部会の「ゴーン氏勾留は不当」、海外はどう見たか

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◆ハンコ以下なのか? 変わらない司法制度
 FTは、日本政府は強硬な反論をしているが、実は意見書が示しているのは、ゴーン氏と同様の経験を日本の多くの被拘禁者がしているという事実だとする。これまでも日本の弁護士によって司法制度改革の必要性は叫ばれてきたし、検察の証拠改ざんなども指摘されてきたが、まったく改革の引き金にはなっていないと同紙は述べる。欠点がいろいろあるにもかかわらず、日本の司法制度は公の非難も恐れず、政治家も改革による混乱をひどく恐れている。また多くの人は、現在の制度の残忍性も、犯罪の少ない社会への対価だと満足していると指摘している。

 同紙は日本の有罪率が高いのは、制度上のリスクアレルギーと歴代政権が改革を先送りにしてきたことが原因だと述べる。最近、単に不要でも習慣だからとして惰性で使用されてきたハンコが、国のデジタル化の障害になるということで廃止されようとしていることを上げ、司法制度改革にはハンコ廃止以上の考え方の転換が必要だとしている。

 米フォーブス誌に寄稿したジャーナリストのウィリアム・ペセク氏は、政府の無理解がビジネスへのブーメランになるのではないかと述べる。東京が香港に変わる国際金融都市を目指していることに言及し、税の高さや英語力の低さといった阻害要因と並び、ゴーン氏の事件の顛末が外国人CEOに日本行きに対する懸念を抱かせるのではないかとしている。

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Text by 山川 真智子