娯楽用大麻、米国の約半数の州で合法化 その利点とリスクとは

オハイオ州の住民投票への投票を呼びかける人々(11月2日)|Carolyn Kaster / AP Photo

◆大麻合法化の利点とリスク
 しかし、全米でも政治的に最もリベラルといわれるハワイ州では、現在も医療用しか合法化されておらず、大麻栽培や、合法的な医療カードを持つ患者以外の大麻売買は違法である。この州で20年以上暮らしてきた筆者が見た限りでは、大麻自体は以前から一部で流通しており、決して医療用とは言えない状況も多々あるのが現状だ。違法栽培や売買をなくすために合法化した方が良いという意見もあるが、外国人が多く訪れる観光州であるという手前、特に日本人観光客誘致が困難になるのを恐れて合法化に踏み切れないという建前もあるのだろう。ハワイ州のように利点よりもリスクの方が大きいケースもあるはずだ。

 また、大麻使用に関する健康リスクについても懸念はある。ジョンズホプキンス大学公衆衛生学部によると、大麻の常用で中毒症状が出たり、仕事や学校、家庭での役割を果たせなくなったり、禁断症状が出たりすることもあるという。つまり、常用した場合は酒やたばこと同様に何らかのリスクが出る可能性がある。

 一方、大麻の裏取引で起こりかねないさまざまな犯罪を防止したり、犯罪組織の収入源を断つなど、合法化には利点もあると言えるだろう。また各州政府の経済的観点からみても各州の大麻合法化には利点がある。CNBCによると、大麻を医療・娯楽用ともに合法化した中西部ミシガン州だけでも昨年1年間の大麻関連の税収が3億2500万ドル(約480億円)に達した。今年合法化したデラウェア州、ミネソタ州、オハイオ州に続き、今後はフロリダ州やペンシルバニア州でも合法化の動きがあるという。

 違法薬物に対する拒否反応が強い日本で今後大麻合法化の方向に向かうとは思えないが、元々大麻の使用が盛んだったアメリカにおいては、合法化に踏み切った方が国民にとっても各州政府にとっても利点は多いようである。

Text by 川島 実佳