卒業生の子優遇、米名門大の「レガシー入学」が槍玉に 人種優遇「違憲」で

ハーバード大学のキャンパス|Charles Krupa / AP Photo

◆大金を寄付してハーバード大に入学
 ドナルド・トランプ前大統領の娘婿で、ハーバード大学卒のジャレッド・クシュナー氏もレガシー・アドミッションによって入学できたという疑いがある。2016年のプロバブリカの報道によると、同氏の父親はクシュナー氏が入学する前の1998年、同大学に250万ドルを寄付することを約束していた。クシュナー氏が通っていた高校の職員によると、同氏の成績は決して良いものとは言えず、まさか同氏が「ハーバード大学に入学許可されるとは思っていなかった。ほかにもっと成績が良い生徒もいたのに、その生徒たちは入学を許可されなかった」と話している。アメリカのエリート社会ではこのようにして金や権力、そして学歴さえもが世襲されてきたのだろう。ちなみに、トランプ前大統領も姪に「お金を払って(大学入学選考の)学力試験をほかの人に受けさせた」と暴露されたことがある。

 アファーマティブ・アクションが違憲であるならば、事実上白人系と富豪のアファーマティブ・アクションともいえるレガシー・アドミッションも同様に違憲となるべきだろう。実際、APによると、ハーバード大学と同じマサチューセッツ州にある小規模名門大学アマースト大学や、医学部で有名なメリーランド州の名門ジョンズ・ホプキンス大学では、レガシー・アドミッションが公平ではないとしてすでに禁止されている。レガシー・アドミッションをなくすことは、アメリカの権力世襲制度にメスを入れ、より人種的に公平な社会へと変えていく第一歩なのである。

Text by 川島 実佳