卒業生の子優遇、米名門大の「レガシー入学」が槍玉に 人種優遇「違憲」で

ハーバード大学のキャンパス|Charles Krupa / AP Photo

 6月29日にアメリカ最高裁が大学入学選考において人種を考慮に入れる「アファーマティブ・アクション」が違憲であると判断したことは、過去数十年間、高等教育の場や職場における人種・民族の多様化を図ってきたアメリカ、そしてバイデン政権にとって痛手となった。そしてその余波として、主にハーバード大学などのアイビーリーグをはじめとする多くの名門大学で実施されている、卒業生や大口寄付者の子孫を優先的に入学させる「レガシー・アドミッション」が槍玉に上がっている。

◆白人学生の43%が通常選考以外で入学
 APによると、非営利団体「Lawyers for Civil Rights」が3日、ニューイングランド地方の黒人系とラテン系アメリカ人コミュニティグループの代理として、ハーバード大学における入学選考システムが公民権法を侵害しているとして教育省公民権局に苦情を提出した。

 苦情によると、同大学におけるレガシー・アドミッションの申請者の7割が白人系であるという。またレガシー・アドミッションは大学のメリットとは何の関係もなく、この制度のために、入学に適格なほかの人種の学生たちが入学の機会を奪われており、レガシー・アドミッションがなくなることで、より多く他人種の学生の入学が可能になると指摘している。そして教育省に対し、ハーバード大学が連邦政府からの補助金を受けているにもかかわらずこのような入学選考を行うことは違法であると言明するよう要請している。

 ではハーバード大学においてレガシー・アドミッション枠で入学する白人系学生数はどの程度いるのだろうか? NBCニュースによると、同大学では白人系学生の半数近くである43%がレガシー・アドミッションやアスリート枠か、または同大教職員の子供枠で入学しているという事実が判明した。つまりそれだけの白人系学生が必ずしも入学にふさわしい学力を持っていない可能性があるということである。

Text by 川島 実佳