ゼロコロナ政策緩和でない、中国で感染爆発が起きている理由

満床のため受け入れを断られた患者(河北省涿州市、12月21日)|Dake Kang / AP Photo

 新型コロナウイルスを封じ込めるゼロコロナ政策を大幅に緩和した中国で、爆発的に感染が広がっている。その影響はさまざまな方角から全世界に達すると考えられており、懸念が高まっている。

◆感染しても働かざるを得ない状況
 中国政府の方針変更以来、北京をはじめ複数の都市や地方で新型コロナをめぐる状況が深刻化している。発熱患者が押し掛ける病院は逼迫し、市販の解熱剤や風邪薬を求める人が薬局に長蛇の列をなし、火葬場は飽和状態といった具合だ。

 北京では90%の社員が感染したところもあると言われる。筆者の知る上海の一企業でも、数日前には社員の3割だった感染者が、すでに5割に達したという。

 それに伴い、どこも人手不足で、スタッフの8割が感染している北京のある病院では、感染者も勤務を続け、患者が「明日亡くなる」ほどでなければ、手術をキャンセルしているという(ガーディアン紙、12/15)。

 人口3000万以上を抱える重慶市や、浙江省などでは、コロナ陽性でも症状が軽ければ出勤できるようになった。これまで無症状感染者のみならず陰性の接触者や、接触者の接触者まで強引にセンター収容していたことを思うと180度の転換だ。

Text by 冠ゆき