ゼロコロナ政策緩和でない、中国で感染爆発が起きている理由

満床のため受け入れを断られた患者(河北省涿州市、12月21日)|Dake Kang / AP Photo

◆あくまで国産ワクチンにこだわる中国
 中国政府は、人口の約90%がワクチン接種済みで、60歳以上を対象に2回目となる追加接種を開始すると発表しているが、3回目の接種を受けた80歳以上は42.3%に過ぎないとされる(ロイター)。

 もともと中国で使用されている不活性ワクチンは、mRNAワクチンと比べて効果が落ちるとされる。それでもWHOは3回接種すれば効果があると見ているが、肝心の追加接種が中国では進んでいないのだ。

 この中国の惨状に対し、ドイツは20日、数億回分のファイザー・ビオンテックワクチンの提供を申し出たが、中国はこれを拒否している。それでもドイツは21日、中国に住むドイツ国民向けに、ファイザーのワクチンを中国に送ることに成功した。これまで、mRNAワクチンは中国で入手不可能だったので、中国に住む外国人の多くは、中国製ワクチンしか選択がなかった。

◆緩和前の準備不足
 感染急拡大がゼロコロナ政策緩和のせいではないとしても、緩和前の準備を何もしなかったことが、現在の混乱を生んでいるのは確かだ。中国はワクチン接種キャンペーンを十分に行わず、病院の体制も整備せず、国民への説明もなく、段階をまるで踏まずに制限を取り払った。

 その結果、途方に暮れた人々の多くは、セルフチェックとセルフメディケーション、自発的な自己隔離に走っている。中国の検索サイト百度では、発熱や風邪に用いられる市販薬「イブプロフェン」の検索数が、1週間で430%増加し、風邪薬の売り切れる薬局が増えている(20minutes紙、12/14)。

 免疫を上げるビタミンCを多く含むレモンにも人が殺到し、ある農家では週あたりの出荷数が5~6トンから20~30トンに急増。価格も数日で2倍になった。そのほかの果物や缶詰の桃に関しても同傾向がみられ、アリババ系列のチェーン食料店では900%近く売り上げを増やしている。(レ・ゼコー紙、12/21)

Text by 冠ゆき