アフリカ英語を追加していく「英語の権威」辞典 現地語由来の単語も

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◆OEDとアフリカ言語
 アフリカのさまざまな国で、地域で発展した英語が使われるなか、近年OEDではほかのアフリカの国で使われている言葉の追加も行ってきた。その一つが、ナイジェリアだ。ナイジェリアも、前述の東アフリカの国と同様、英国による植民地時代を経て、英語が使われてきた。しかし、ナイジェリアで使われている英語は、土着の言語とも交わり、イギリスやアメリカで使われる英語とは異なるアイデンティティを持つものとして発展してきた。たとえば、食に関するものでは屋台を意味するブカ(buka)やカフェテリアとブカをミックスさせたブカテリア(bukateria)などがある。モビリティ関連では、地元の主要交通手段の一つであるミニバスのダンフォー(danfo)やバイクタクシーのオカダ(okada)などがある。

 他方、南アフリカの英語に関しても、過去OEDはアップデートを行ってきた。11の公用語が使われている南アフリカでは、最大公約数的に英語が使われているが、さまざまな現地の言葉が英語の一部になっている。たとえば公用語の一つで、オランダ語にルーツを持つアフリカーンス(Afrikaans)からの単語や、土着の言語であるコサ語やズールー語からの単語がOEDの英語にエントリーしている。また、ユニークな現地での表現としては、「how’s it going?」を短くした「howzit?」(「元気?」といったようなニュアンス)というものが含まれている。

 日本では英語というと、発音なども含めてアメリカ英語が主流であることが多いが、世界にはさまざまな英語が存在している。OEDが、土着の言語や地域の文化的要素が反映された多様な英単語を含めていくことは、英語を通じて、世界のさまざまな文化の多様性を認め合うことにつながる。英語がこれからますますインクルーシブなツールとして進化していくことに期待したい。

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Text by MAKI NAKATA