オミクロン株「BA.5」の次に? インドで割合上昇の「BA.2.75」

インド・ケーララ州コーチでキリスト教のパーム・サンデーに集まる人々(4月10日)|R S Iyer / AP Photo

 新型コロナパンデミックは現在、世界的にオミクロン株が優位に立っている。そのなかでもヨーロッパでは「BA.5」が感染拡大を引き起こしており、アメリカでも「BA.2.12.1」が「BA.5」に置き換わった。インドにおいても「BA.5」系統の感染が拡大しつつあったが、6月以降新たに「BA.2.75」系統の上昇が検出され、注目されている。

◆WHO、懸念される変異株の系統とみなす
 「BA.2.75」は6月頭にインドで最初に確認され、現在同国の感染の約20%を占めている(ル・テレグラム紙、7/7)。その勢いに、世界保健機関(WHO)も「BA.2.75」を「懸念される変異株(VOC)における監視下の系統(VOC-LUM)」に指定した。「BA.2.75」は、これまでのところデンマーク、ドイツ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどを含む10ヶ国以上で確認されている(ランデパンダン紙、7/7)。

◆免疫回避能力の高さ
 「BA.2.75」は、「BA.2」系統に属し、「BA.2」と比べて8つの新たな変異を含む。そのうち研究者らがもっとも注目しているのがG446Sだ。G446S変異は「BA.1」系統とも共通する変異で「ワクチン接種による中和抗体からの逃避への影響」を示唆するものだ(国立感染症研究所、7/8)。言い換えると、「BA.2.75はすでに新型コロナウイルスに感染した人やワクチンを接種済した人も感染する」と考えられ、その免疫回避能力は、「BA.5よりもずっと高い」と見られている(ランデパンダン紙)。

Text by 冠ゆき