オミクロン株「BA.5」の次に? インドで割合上昇の「BA.2.75」

インド・ケーララ州コーチでキリスト教のパーム・サンデーに集まる人々(4月10日)|R S Iyer / AP Photo

◆「BA.5」を上回る感染力
 インドにおけるオミクロン感染の波は、2021年12月に「BA.1」で始まり、その後、「BA.2」「BA.4」そして「BA.5」へと置き換わっていった。そういった状況下で、6月以降に「BA.2.75」系統の割合の上昇が検出されたことから、「BA.2.75」の感染力は「BA.5」を上回ると考えられ、「数ヶ月後はBA.5に置き換わる」(ラ・デペッシュ紙)と見るメディアも少なくない。

◆オミクロン株は重症化しづらい
 だがその一方でインドの専門家らは7日、データが少なすぎて「BA.2.75」の特性を特定するにはまだ早いという見解を示した。また、インド医師会のラジーブ・ジャヤデヴァン博士は、数少ないデータだがそれを見る限りでは、「BA.2.75」感染者の症状は軽度、あるいは無症状である場合が多いと述べている。(ヒンドゥー紙、7/7)

 ムンバイの医療現場で働くアガルワル医師も、「新しい変異株は、これまでのところ大抵穏やかな症状が2、3日続く」ように見えること、過去6ヶ月間に深刻な症状を呈する患者数も減ったと感じることなどを報告している。(同)

 これは、これまでのオミクロン株に認められた特性に一致する。感染力と免疫回避力に秀でているが、重症化するリスクは低いということだ。

◆「BA.2.75」は「BA.5」に続く新たな脅威?
 確かにデルタ株までは見られた肺への影響は、オミクロン株では影を潜めている。アガルワル医師によれば、現在インドの医療現場では呼吸器症状を引き起こす非Covidウイルスの出現が増えており、むしろそちらへの注意が必要になっているという(ヒンドゥー紙)。

 上述の通り、「BA.5」に続いて「BA.2.75」が新たな感染の波をもたらすのではないかと警戒する声は少なくない。しかし逆に、いまは「BA.2.75」が増えつつあるインドでも、最終的には「BA.5」によって置き換わるのではないかという意見も存在する。

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Text by 冠ゆき