接種先進国でワクチン大量廃棄 期限切れ、他国に送るのも困難

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 新型コロナワクチンは、接種が始まってからしばらくは各国で供給不足が問題となっていた。しかし接種開始が早かった国々では、最近になって需要が減少。手持ちのワクチンの使用期限が来て、大量廃棄する国も出ている。足りない国に送るにも、法律や物流といった壁に阻まれうまくいかず、貴重なワクチンが日々無駄になっている。

◆接種ペース鈍化、ワクチン不足は過去の話
 現在アメリカ、イギリス、オランダでは、数万回分のワクチンが廃棄に直面していると英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)が伝えている。アメリカでは3月末までにすでに18万回分以上のワクチンが廃棄され、いくつかの州は期限切れ間近のワクチンを数千回分抱えているという。廃棄せざるを得ない最も大きな理由は、需要の減少だ。

 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によれば、1日当たりの接種数はピーク時の5分の1までに減っている。一部の州では、数人の接種のために新しいワクチンの瓶を開封し使い切らぬまま廃棄しており、ワクチン不足で困っている国を横目に贅沢な使用が許されている。

 イギリスでは若者の接種希望者が減っており、ワクチン余りが起こっている。人口の87%は1回目の接種を終えているが、18~25歳の接種率は60%を切っている。ほかの場所で接種を受け予約の日時に現れない人もおり、そのたびにワクチンが捨てられているという。(インデペンデント紙

Text by 山川 真智子