原発処理水の海洋放出、海外はどう報じた? 解決へのヒントも

Hiro Komae / AP Photo

 東京電力は福島第一原発から出た廃水を処理し、1000基以上のタンクを建設して貯蔵している。タンクは2022年後半には満杯になる予定で、日本政府は2年後をめどに、処理水を海洋放出する方針を決めた。海外メディアもこのニュースを大きく報じ、容認派と反対派の主張を取り上げている。

◆すでに前例あり 専門家は放出を容認
 米科学誌サイエンスは、日本政府の諮問委員会は、処分方法は海への排出か蒸発による放出しかないと2020年2月に結論づけていたと述べ、今回の海洋放出の発表は待ち望まれてきたものだとしている。ほかの原子力発電所も同じ方法で廃水を処理し、影響は最小限に抑えられていることや、1979年のスリーマイル島原発の事故で生じた9000トンの汚染水も、最終的に気化して処理されたことに言及している。

 世界原子力協会(WNA)が運営する世界原子力ニュース(WNN)は、国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が今回の決定を「廃炉に向けた継続的な進展に道を開く画期的な出来事」として歓迎したことを伝える。論調はさまざまだが、科学系メディアだけでなく一般の大手メディアや通信社も、日本の決定は科学者たちが妥当としていると報じており、一定の理解は得ているようだ。

Text by 山川 真智子