「世界一ロマンチックな鉄道」只見線、海外で反響 地元写真家がPR

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 秘境をゆくJR只見線が海外で知名度を上げている。福島から新潟にかけて130キロあまりを結ぶこの路線は、2011年の新潟・福島豪雨で橋桁が流失し、一時は廃線すらささやかれていた。ところが地元写真家の地道なPRが実を結び、国内外からの観光需要がじわりと上昇。現在は2022年の全線復旧に向けて動き出している。コロナ禍の現在こそ訪問客は下火だが、収束後をにらみじっと復活の時を待つ。

◆「世界一ロマンチックな鉄道」
 只見線は福島県の会津若松駅から出発し、山間部を横断して新潟県の浦佐駅へと至る。まるでトンネルのように列車を囲む木立に、田園の田植え風景、そして懐かしさを感じさせる農村など、大自然と山郷の魅力が詰まった行程だ。旅のハイライトは、只見川を横切るアーチ橋の第一只見川橋梁。この区間は車窓からの絶景を楽しめるようにと、列車は速度を落として運行する。また、列車を降りて遊歩道からビューポイントへ登れば、雄大な風景をバックに、鉄道橋と列車を写真に収めることも可能だ。豪雪地帯を抜ける路線だけあり、冬には一面白銀の別世界を堪能できる。

 英テレグラフ紙(2019年10月31日)は、静寂な雪のなかに佇む小さな村や雪化粧をした森林、そして極寒のなか立ち寄る温泉の魅力など、路線の魅力を余すところなく紹介している。現在は一部区間で不通が続くが、それでも「只見線はいまも変わらずこの島(日本)で一番がく然とする風景だ」と記事は断言する。

 ここにしかない雄大な風景は、旅行客の心に深く刻み込まれるようだ。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(2月8日。以下「SCMP」)は、「世界一ロマンチックな鉄道」として只見線を取り上げる。この愛称はブログサイトの微博(ウェイボー)に書き込まれ、そのまま定着したのだという。

Text by 青葉やまと