「なぜあなたが先に」米ワクチン、一部の政治家の接種に批判

新型コロナウイルスワクチンの接種を受けるジョー・バイデン氏(12月21日)|Carolyn Kaster / AP Photo

 2020年も終わりに近づいたが、アメリカではいまも変わらず新型コロナウイルス感染者数・死者数ともに世界一である。ジョンズ・ホプキンス大学の統計によると、日本時間の24日午後4時の時点で、累計感染者数は1846万5883人、死者数は32万6217人を記録しており、感染者数増加の勢いが止まる気配はない。

 そのようななか、11月に完成が発表されていたファイザー社のワクチン接種がアメリカで開始された。CBSニュースによると、最初のワクチン接種は12月14日、ニューヨーク州で緊急治療看護師を務めるサンドラ・リンジーさんをはじめとする医療関係者が受けた。その後は最も危険にさらされている高齢者や、マイク・ペンス副大統領、ナンシー・ペロシ下院議長、ジョセフ・バイデン次期大統領などの政治家、22日には国立感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長も接種を受けた。しかし、これまで新型コロナウイルスを軽視する発言を続けてきた一方で、ワクチン開発に強い圧力をかけていたドナルド・トランプ大統領やホワイトハウス職員、トランプ氏の家族などはまだ接種を受けていないようだ。

◆政治家のワクチン優先接種で批判
 そのようななか、我先にと真っ先に接種を受けた共和党のマルコ・ルビオ、リンジー・グラム、ジョニー・アーネスト各上院議員らが、一部の国民から大ひんしゅくを買っている。3人とも親トランプ派議員で、いずれもこれまでマスク着用を怠ったり、「スーパースプレッダー」イベントと呼ばれたトランプ氏の選挙集会に参加したり、ウイルスを軽視する発言をしたりなどして、感染予防に抵抗してきた議員たちである。間接的とはいえ、彼らの言動が少なくとも共和党支持者の感染者、死者数の増加の一因となってきたと言っても過言ではないはずだ。

 しかし、そんな過去の発言を忘れたかのように、一般市民よりも優先的にワクチン接種が可能になるやいなや真っ先に列の一番前に並んだことを国民は見逃さなかった。マルコ・ルビオ上院議員はツイッターで接種の様子を報告。「私は注射針から目を逸らしたし、(腕の)日焼けも必要だ。しかし、COVID-19(新型コロナウイルス)ワクチンの安全性に自信を持っているので、接種を受けることにした」というコメントをワクチン注射を受けている写真とともに投稿した。またリンジー・グラム上院議員も同じく写真とともに、「助けが必要な人を補助して、注射の使い方を知っている看護師がいることを神に感謝する。ワクチンを製造した人々がいることを神に感謝する。十分な数の人々がワクチン接種を受ければ、普通の生活に戻ることができる。助けはそこまで来ている」と投稿している

Text by 川島 実佳