「ディファンド・ポリス」という合言葉と、現実的な警察改革の形 米抗議デモ

Charlie Riedel / AP Photo

 米ミネソタ州ミネアポリスで黒人市民が白人警官に拘束され死亡した事件は、世界に衝撃を与えた。「ブラック・ライブズ・マター」を合言葉に、黒人生命の尊重を訴える抗議行動が盛り上がりを見せている。人種差別が常態化した警察への不信は根強く、ここにきてアメリカでは「ディファンド・ザ・ポリス(警察予算を打ち切れ)」運動が一大ムーブメントへと成長しつつある。

♦︎武力による治安維持に破綻
 運動の根底にあるのは、警察の過度な取り締まりへの反感にほかならない。こと有色人種が警察による過剰な対応のターゲットとなっており、白人以外にとっては警察はむしろ生活を脅かす存在と認識されることすらある。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙(以下WSJ)は、ここ40年ほどアメリカでは、武装した警官を派遣することによって社会問題を解決するというアプローチが採られてきたと解説する。各州警察は「割れ窓理論」のもと、治安維持を目的に大量の警官を動員してきた。割れ窓理論とは、窓が割れた空き家のような小さな綻びから治安の悪化が始まるとして、あらゆる問題の芽を徹底的に摘むべきだという考え方だ。しかし、路上生活者やドラッグ中毒患者などの対応に武装警官を当たらせたところで、彼らを生み出している社会問題の根底部分が解決するわけではない。主として取り締まりのターゲットとなってきた有色人種に、警察への恐怖感を植えつけただけに終わった。

 警察の組織改革の必要性はこれまで何度も訴えられてきており、そのたびにさまざまな案が試されては失敗に終わってきた。米CNNは警官の行動を記録するボディカメラの導入を挙げ、しかしながら人々が望むような成果には結びつかなかったと厳しく評価している。警察改革を目的とした大規模な予算カットはこれまで実際に試されておらず、だからこそ事態の好転を望む人々にとって最後の希望となっているわけだ。予算カットの案自体はここ何年も唱えられてきたものの、5月にミネアポリスでの黒人市民の死亡事件以来、アメリカで急速に意識されるようになった。

Text by 青葉やまと

Recommends