コロンブス、リンカーン、ガンディー像も……黒人差別の象徴破壊、世界で相次ぐ

Leila Navidi / Star Tribune via AP

◆ロックダウンも引き金に 吹き出した民衆の不満
 トンプソン氏は、なぜ銅像が攻撃されるのかというNYTの問いに対し、攻撃されているのは像そのものではなく、像が示す意見だと解説する。公の場にあることで、それが示す歴史が公の歴史になることが問題だと述べる。これまで平和的な抗議で像の撤去が求められてきたが、結局何も起こらなかった。平和的解決を諦めた人々が別の手段に出たのが、今回の銅像破壊だと見ている。

 米公共ラジオ網NPRによれば、ブリストルのコルストン像も長年撤去に関するロビー活動や交渉が行われてきたが、結局コンセンサスを得ることができず、そのままになっていた。

 像が今回の抗議活動の標的となったのは、海の向こうで起きたジョージ・フロイドさんの事件が、いまでもイギリス人を二分し続ける人種差別、奴隷貿易での役割、帝国主義の歴史などを思い起させたからだろうとしている。

 イギリス労働党の国会議員で黒人のクリーブ・ルイス氏は、フロイドさん事件への抗議活動は、世界で長年くすぶってきた何かに火をつけたと述べる。そしてその火種となったのが新型コロナのロックダウンと失業だとしており、フロイドさん事件で、人々の心のなかにもうたくさんだという気持ちが広がったのだろうとしている(NPR)。

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Text by 山川 真智子