欧米で自転車の人気急上昇 新型コロナ影響

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◆ほかに選択肢なし? 電車やバスに頼れず
 もっとも、皆が喜んで自転車通勤を選んでいるわけではなさそうだ。ドイツでレンタル自転車事業を展開するSwapfietsの調査では、公共交通機関が部分的にサービスを削減しているいま、自転車はより良い移動の選択肢だと回答者の45%が答えている(ドイチェ・ヴェレ、以下DW)。

 イギリスでは、ソーシャルディスタンシングの現在の目安である、6フィート(約183センチ)の距離を取ると、公共交通機関では従来の10分の1の収容能力となってしまうという。ジョンソン首相は在宅勤務ができない建設業、製造業などの従事者は自動車通勤が望ましいとしている。徒歩か自転車ならさらによいと述べており、安全な通勤にはできるだけ公共交通機関の利用を避けることを求めている。ロンドンでは、今後自転車の利用が10倍になる可能性もあるとしている(WP)。

 ドイツでは、地下鉄通勤していた人々が公共交通機関でマスク着用が求められたことで、自転車通勤を始める人が出ているという。電車やバスに乗れない、乗りたくないので仕方なく自転車という人も、かなり多いと思われる。

◆コロナ時代の健康法 自転車は理想のアクティビティ
 通勤以外の目的でサイクリングをする人も多く、こちらは非常にポジティブに捉えられている。ドイツでは通常春になるとサイクリングをする人が増え、自転車のセールスが伸びる。今年はロックダウンで自転車店が営業できなかったが、封鎖解除で店が開いた後は、自転車が飛ぶように売れているとケルンの自転車店の従業員は話している。子供用の自転車は品薄で、大人用でも特定のモデルやパーツの入手にはかなりの時間がかかるという。ストレスから逃れ、健康を維持するため、サイクリングが好まれているということだ(DW)。

 アメリカでも、サイクリングをする人が急増していると米CBSは報じる。自転車をこぐことは心と体の両方の健康を保つ、手堅いソーシャルディスタンシング行為と見られている。自転車大手、トレックが行った調査によれば、21%の大人が、コロナのパンデミック中はこれまで以上に自転車に乗るつもりと答え、40%が、パンデミックが終息しても自転車に乗るつもりと回答している。CBSが取材した自転車店では、オンラインセールスが急増し、セールスも30%アップしていた。数十年ぶりに自転車に乗ったという人もたくさんおり、家族でできるアクティビティとしても人気ということだ。

Text by 山川 真智子