欧米で自転車の人気急上昇 新型コロナ影響

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 欧州やアメリカは、長らく続いたロックダウンの解除に動き始めた。他者との十分な距離を取ることが求められるいま、以前のような公共交通機関での通勤は厳しく、自転車通勤が見直されている。また、家に籠りがちになる日々で、心や体の健康のために、サイクリングをする人も増加している。

◆温暖化対策からコロナ対策へ 欧州は自転車向き
 ワシントン・ポスト紙(WP)は、パリ、ブリュッセル、ロンドン、ミラノといった欧州の多くの街で、自転車専用レーンの設置が進んでいると述べる。そもそも欧州では、新型コロナウイルスの感染が広がる前から、二酸化炭素の排出削減と大気汚染の軽減を目指して自転車レーンや歩道の整備にかなりの予算がつけられていた。またイギリスのように、減税措置をつけて自転車通勤を奨励している国もある。もともとあった計画が、コロナでさらに拡充されることになった形だ。ドイツのメルケル首相は、温暖化対策がコロナ後の景気刺激策の主要部分になるべきと主張しており、自転車利用もその一つとして、強く押し出されている。

 市内に400マイル(約640キロ)超の自転車レーン建設が計画されるパリの副市長は、コロナはポジティブな影響ももたらし、封鎖で大気汚染が緩和され、人々は喜んでいると述べる。今後移動という観点では、人々の行動において大きな変化が生まれるだろうとしている。フランスの場合、12月に交通機関のストライキがあった際には、自転車で通勤する人が3、4倍になったが、コロナのロックダウン後は5倍になるのではないかと見られている(WP)。

Text by 山川 真智子