感染症リスクも、市場の野生動物を食べたい……新型肺炎と中国の食文化

Xinhua, Liu Dawei / AP Photo

 中国の武漢市で発生した新型肺炎に関し、中国の専門家は生鮮市場で売られていた野生動物が感染源だったという見方を示している。実は中国には多くの生きた動物を売る市場があり、消費者には人気が高い。SARS(重症性呼吸器症候群)の流行後、こうした市場への規制を政府は強めているが、完全なコントロールは難しいようだ。

◆もはや動物園、珍獣も手に入る生鮮市場
 新型肺炎の感染は、武漢市の華南海鮮市場から広がったとされている。市場はすでに閉鎖されているが、ネット上に上げられた市場内の店の料金表には、キツネ、オオカミ、ジャコウネコといった約100種の野生動物や家禽類の名前が載っていたという。実際に市場を利用していた人たちは、この店以外にも、生きた動物を扱う店があったと証言している(サウスチャイナ・モーニングポスト紙、以下SCMP)。

 2002年から2003年に発生したSARSは、コウモリが持っていたウイルスがジャコウネコを介して広がったとされており、中国政府は野生動物の販売には厳しいとブルームバーグはしている。警察と市場を監督する部署は、野生動物の闇取引の摘発に乗り出し、絶滅危惧種や希少で保護されている動物を獲ることを禁止している。SCMPによれば、商業目的での野生動物の飼育繁殖は中国では許可されているが、省の認可を受けなくてはならない。米公共ラジオ網NPRによれば、中国保健当局は、武漢市の市場で違法に売られていた野生動物が感染源ではないかと疑っているという。

Text by 山川 真智子