太ってゆく欧米の家猫……11キロ超の猫のダイエット、ネットで話題に

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◆飼い猫は太り気味 生活習慣病にも発展
 カナダのCBCは、シンダーブロックの例はネットのナンセンスではなく、実際に多くの飼い猫が太り気味だと述べる。北米で1900万匹の猫を対象にした研究では、ほとんどの猫は成猫になっても体重が増え続け、最も増えたときの体重は、20年前と比べ増加しているという。また、カナダのゲルフ大学の研究者の、1981年から2016年の間に動物病院で測定された猫の体重をもとにした研究によれば、肥満は糖尿病、脂肪肝といった健康上の問題につながっているという。

 英ミラー紙が紹介する猫のペイズリーも、シンダーブロックと同様のケースだ。飼い主はペイズリーが食べたいだけ餌を与え、肥満で手に負えなくなってしまってレスキュー・センターに持ち込んだという。当時ペイズリーの体重は9.5キロもあり、自分で毛繕いもできないほどになっていたという。幸いにも新しい飼い主が見つかり、0.5キロの減量にも成功したが、この先糖尿病や心臓疾患を発症する心配は消えていない。レスキュー・センターの副所長、タニア・マーシュ氏によれば、ペイズリーが食べられるのは当分の間、低カロリーで腹持ちのよい処方食のみだ。また急な減量は脂肪肝の発症につながるため、定期的な獣医師によるチェックも必要だということだ。

◆甘やかしも放任も禁止! 飼い主にも非あり
 カナダのエドモントン・ホリスティック動物病院のカレン・マースデン氏は、猫は食べ続けることで依存症のような状態になり、いくらでも欲しがるようになるとCBCに話している。「ニャー、ニャー」とねだる声に負けて、ついつい餌をあげてしまう飼い主の意志の弱さが問題だとしている。

 餌の選び方も間違っている場合が多い。マースデン氏によれば、ドライフードには、穀物やコーンなどの隠れた炭水化物が含まれている。人間同様、炭水化物を減らすことが猫の減量を助ける。肉食動物に雑食動物のような餌をやることは本来間違いで、猫はタンパク質豊富な食事を1日に2回取れば十分だとしている。

 猫が以前よりも活動的でなくなっているのも問題だ。屋内で1日を過ごす猫が増えており、そういった猫は座りがちで体重が増える。マースデン氏は、飼い主はできるだけ猫と遊び、偽の空腹から注意をそらしてやるべきだとしている。とくにお薦めはレーザー・ポインターとキャットニップ(猫が好む噛める植物)だという。かなり夢中になれるということで、猫にとってのiPhone的アイテムということだ。クリスマスシーズンも近づいており、ぽっちゃり猫の飼い主にとっては、役立つプレゼントを探してあげる絶好の機会だと同氏は語っている。

Text by 山川 真智子