元入居者が語る、スイスのDVシェルター

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 世界でドメスティック・バイオレンス(以下DV)の被害者になっている女性は多い。国連の「The World’s Women 2015」によると、地域によって差はあるが、親密な関係にあるパートナーから少なくとも1回は被害を受けたことがある女性の割合は、ヨーロッパは13~46%、アジアは6~67%、オセアニアは17~68%、北米は7~32%などとなっている。また国連は、2017年に世界で5万人(1日にして137人)の女性が親密な関係にあるパートナーや家族の手によって亡くなったと公表している

◆スイスでもDV、深刻なケースも
 チューリヒやジュネーブなどは、いわゆる「住みやすい都市」として国際比較ランキングでしばしばトップ10入りしているが、スイスでも少なからずDVが起きている。政府の統計によると、2017年に警察に登録された全犯罪のうち、DV は37.5%を占めた。

 DVは、暴行、怪我を負わせる、暴言、脅し、監禁、子供への性的虐待など、さまざまな形がある。スイスでは、DVで死に至った件数は2017年21件(うち女性17人)、2018年27件(うち女性24人)、殺人未遂の件数は2017年53件、2018年52件だった。

 DV被害者は女性が多く、9885人中7179人(73%)、男性は2706人(27%)だった。被害者の国籍は51%がスイス籍、42%が仕事や結婚などで住んでいる外国籍、7%が難民などの外国籍だった(以上2017年の数値)。

 届け出の回数を見ると、85%の人が1回だけだが、15%の人が2回以上通報している(2013~2017年の5年間)。

Text by 岩澤 里美