チェルノブイリに生きる犬たち……殺処分を免れたペットの子孫のいま

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 旧ソ連時代に起きた原子力発電所の事故で、人の住めなくなったウクライナのチェルノブイリには、数百匹の野良犬が暮らしているという。彼らは、事故で故郷を離れた住民たちのペットの子孫だ。近年ボランティア団体が現地に入り、犬たちの捕獲や健康管理を始めており、放射線の影響なども明らかになっている。

◆帰らない飼い主、犠牲となったペットたち
 33年前の1986年4月にチェルノブイリ原発事故は起こった。想像を絶する量の放射性物質が原発周辺地域の大気中に放出され、数十万人が強制避難させられる大惨事となった。避難の際に、最終的には帰還できるからと言われ、住民たちはペットを連れていくことを禁じられた。ビジネス・インサイダー誌によれば、当時飼い主たちが乗り込んだバスの後を追いかける犬たちの悲しい姿が見られたという。

 その後、立ち入り禁止区域となった原発から30キロ圏で事故処理を行うソ連の「清算人」たちには、ある任務が課せられた。それは、放射線を大量に浴びたペットたちを処分することだった。表向きは放射能被害で苦しむよりも安楽死というソ連政府の慈悲だったが、追いかけられ殺された犬たちの死体は、地中に掘った穴に捨てられたり、放射線を防ぐためコンクリートで覆われたりした(エンタメニュースサイト『MEAWW』)。

Text by 山川 真智子