香港議会占拠、中国が動く口実に? 報復と人心離反を招く危険性

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「逃亡犯条例」の改正反対から始まった香港の市民の怒りはいっこうに収束する気配がない。7月1日、香港の中国返還22周年を祝う式典が行われ、この日も約55万人の市民が平和的なデモ行進を行った。ところが一部の若者が立法会の議場に突入し、破壊行為を行った。これにより、中国政府が取り締まりに動くのではないかという見方が出ている。

◆何も受け入れられない 若者に広がる不満
 英インデペンデント紙に寄稿した香港城市大学の元教授、ジョセフ・ユー・セック・チェン氏は、香港の民主化運動は活発になっており、若者の怒りと欲求不満が高まっていると述べる。「逃亡犯条例」改正案の撤回や、6月12日のデモでの警察による暴力への捜査など、彼らが求めるものはすべて拒絶されており、これまでのような平和的なアプローチでは効果がないという若者もいるという。不満が彼らを過激で対立的にさせていると見ている。

 しかしこれまで概して平和的だった運動に、暴力が加わったことへの批判もある。ガーディアン紙の社説は、議場占拠や破壊行為は、報復の危険性をもたらすだけでなく、一般市民を遠ざけることにもなると述べる。ロイターも、香港の安定、安心を評価しアジアの拠点としてきた外資系企業が離れていく可能性もあると指摘している。

Text by 山川 真智子