妊産婦の心強い味方「ドゥーラ」という職業 家事・育児をサポート

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 妊娠・出産は女性の人生において命をかけて行う仕事であると言っても過言ではない。とても神聖で喜ばしいことであると同時に、母親の体にはとても大きな負担がかかり、出産の際には危険も伴うこともある。その妊娠・出産に不安をまったく感じないという女性はいないだろう。

 医者や看護師は定期的な検診などで妊娠の経過を見守ってくれ、安全な出産の場所を提供する。家族や友人は身の回りのサポートや精神的な支えにはなるが、専門家ではないため情報や信頼性に欠ける。そんな二つの間をうまく補ってくれ、心のサポートもしてくれるのが「ドゥーラ(doula)」と言われる職業である。現代社会において、その存在が重要視されている。

                                                                                                                 

◆ドゥーラというサポートシステム
 ドゥーラとは、ギリシャ語で「女性の奴隷」という意味で、1970年代にアメリカの人類学者のドーナ・ラファエル博士がこの言葉を母乳育児の分野で紹介して以来、徐々に浸透していった。出産コーチや出産サポーターなどとも言われ、出産前から出産の際、また出産後の女性を支援する非医療者で、必要に応じて身体的支援だけでなく、精神的なサポートを提供する専門家である。ときには、母親だけでなく、そのパートナーや家族の支えになることもある。

 アメリカでは約5%の出産がドゥーラのサポートを受けており、新しい職業として北米を中心に発達している。ドゥーラという言葉はある程度一般的にも知られているが、そのサービスを利用するにはまだハードルが高い。たとえば、現在ドゥーラサービスに医療保険は適応されてない。ほとんどのドゥーラが認証書は持っていても、国家資格や免許などドゥーラの活動を規定する法律は存在せず、保険会社から必要なサポートとして認識されていない。また、出産に立ち会う際、「友人」として扱われることもある。日本ではまだ認知度が低く、その言葉を一度も聞いたことがないという人も多いが、ドゥーラは、妊娠・出産の過程で女性に寄り添い、子育てが軌道に乗るまでの日常生活を支える重要な役割を担っている。

Text by sayaka ishida