急に「消えた」恋人から「いいね!」が……ネット時代の不可解な恋愛行動

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 インターネットの発達とともに、近年世界のどこでも、そして誰でも、恋愛や結婚相手をネット上で見つけることが多くなった。これはいわゆる、日本で言う「出会い系」サイトまたはアプリだが、英語ではこれを総じて「オンライン・デーティング(Online Dating)」と呼ぶ。

 デジタル・ウェディング・ブランド会社「ザ・ノット(The Knot)」の調べによると、アメリカでは2017年、花嫁の17%がオンライン・デーティング、2%がソーシャルメディアを通じて結婚相手を見つけたと答えた。5人に1人はネットで結婚相手を見つけたことになる。

◆交際相手を突然拒否して消える「ゴースティング」
 このような出会い系サイトやアプリでの出会いは、もちろんネット上でのコミュニケーションから始まる。まだ会ってもいない相手であるばかりか、デジタル上のコミュニケーションではお互いの顔や表情が見えないことからコミュニケーションは困難なはずだ。

 表情や話し方のニュアンスがわからないために誤解を受けることもあるだろうし、直接会って会話する際のように「話が弾んでときを忘れる」ということもない。デジタル上でのコミュニケーションは「会話のキャッチボール」というより、メッセージを送っても返事が返ってこない一方通行のコミュニケーションである場合も多いはずだ。そんなときは相手の思惑が気になって仕方がなくなる。

 出会いもネット上なら、別れもネット上であっさりと終わることが多い。そこで生まれたのがネット恋愛特有の行動を指す「ゴースティング(ghosting)」という言葉だ。これは、デートしていたり、交際していたりした相手が突然メッセージや電話などのコミュニケーションに一切応えず相手を無視し、まさに「幽霊のように」消えることを指す。突然理由もわからず、日本でいう「既読無視」や「未読無視」の扱いを受けたり、理由も言わずブロックされたり、どんな手段で連絡を取ろうとしても一切拒否される。相手に好意がある場合、これは辛いことに違いない。

 ネットで気軽に出会い、面と向かってコミュニケーションを取ることに重きを置かないため、相手の気持ちを軽んじるようになり、別れもスマホだけで手早く済ませる時代になったようである。

Text by 川島 実佳