短く複数回眠る「分割睡眠」、健康や生産性への影響は?

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 睡眠時間を削って1日をより生産的に生きようと、人類はさまざまな手法にチャレンジしてきた。そのひとつが分割睡眠だ。夜の睡眠時間を短縮し、昼間に少しの睡眠をとることで、合計の睡眠時間を削減できるという。もっともらしい理論だが、健康や生産性への影響はどうなのだろうか?

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◆分割睡眠 vs 単相睡眠
 多くの人は夜に連続して長時間眠り、日中は起き続けるという睡眠パターンをとっている。単相睡眠と呼ばれる眠り方だ。これに対し、1日のうちに短い眠りを複数回こなす方法もある。分割睡眠あるいは多相睡眠などと呼ばれる。合計の睡眠時間を短縮し、活動により多くの時間を割けるようになるとされている。不自然なテクニックのようにも感じられるが、米ヘルス・ライン誌は、霊長類以外の哺乳類では多相睡眠がむしろ一般的だと紹介している。

 睡眠の分割は人間社会でも一定の支持を得ており、古くは古代ギリシャの時代から行われてきたようだ。米サイコロジー・トゥデイ誌は、歴史学者であり分割睡眠に詳しいロジャー・イーカーチ氏の見解として、照明と暖房が普及する19世紀ごろまで、夜中に起きてまた眠り直すことはごく一般的だったと紹介している。暗闇が12時間以上も続く冬場には、途中で覚醒してしばし家族と会話や食事などを楽しみ、また寝床に戻るなどが習慣的に行われていた。眠りの分割はことさら不自然な行為というわけでもなさそうだ。

◆1日2時間の眠りで満足できる?
 現代において積極的に分割睡眠を試す人々は、多くの場合、短い睡眠時間で満足するためのライフハックの一種として取り入れている。ヘルス・ライン誌によると有名な手法には3つのタイプがあり、最短で1日あたり合計2時間の睡眠でこと足りるようだ。1943年の米タイム誌で紹介されたという「ダイマキシオン・スケジュール」は、6時間ごとに30分間眠るスケジュールを繰り返し、1日に計2時間の睡眠とする。米デザイナー・建築家のバックミンスター・フラーは、このスケジュールを実践していたという。一方、「ウーバーマン・スケジュール」では、3時間のまとまった睡眠を1回とり、日中は20〜30分の仮眠を4時間に1度などのペースで繰り返す。似たところでは、3時間のまとまった睡眠を1回と20分の仮眠を3回とる「エブリマン・スケジュール」などが有名だ。

 とはいえ、分割睡眠は必ずしも睡眠時間の短縮のため行われているわけではない。ニューヨーク・タイムズ紙(以下「NYT」)は、パンデミックを受けて多くの人が、短い睡眠を多数繰り返すパターンに回帰していると指摘する。19世紀初めまでの人々は、勤務先が家やその周辺に限られていたことから、日中に睡眠をとることが容易だった。リモートワークの普及により、現代でも望むときに眠りやすい環境が戻ってきているといえそうだ。

◆健康への影響は
 気になるのは健康への影響だが、率直にいってあまり良い効果は生まないようだ。2017年の研究で学生61名の成績を比較したところ、合計の睡眠時間が同じであっても、分割睡眠を行っているグループでは成績の低下がみられた。体内時計が遅れ、概日リズムに乱れが確認されたという。こうした結果からヘルス・ライン誌は、分割睡眠は可能な限り避けたほうがよいとしている。ただし、職務上の理由などにより、合計睡眠時間をやむを得ず制限しなければならない場面では、分割睡眠が集中力の保持などに役立つ可能性がある。

 また、NYT紙は専門家の見解として、分割睡眠が不眠症の人々に有益だとしている。夜中に目覚めても落胆する必要がなく、正常な睡眠スケジュールとして受け入れることができるためだ。ストレスを感じにくい分割睡眠を受け入れ、そこから単相睡眠に戻していく手もあるだろう。

 常用には健康上のリスクも否定できないが、通常と異なる睡眠時間やパターンを強いられる場面では、役に立つケースがありそうだ。

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Text by 青葉やまと