「22時台に寝ると心疾患リスク低い」「睡眠不足は歩行に影響」最新研究で明らかに
睡眠の健康への影響が説かれるようになってすでに久しい。実際、良質な睡眠の大切さを日々実感する人も少なくないだろう。そんななか、最近新たに判明した睡眠の身体への具体的影響を二つ紹介する。
◆睡眠不足だと転びやすい
10月26日にサイエンティフィック・リポーツに掲載された研究によれば、「睡眠不足は歩行制御に影響を与える」ことがわかった。サン・パオロ大学の学生を被験者にしたこの実験では、まず2週間普段通りの睡眠をモニタリング。そののちランダムに分けた2つのグループのうち一方に徹夜をさせて、翌日歩行テストを行った。
歩行テストは、ウォーキングマシンの上をメトロノームのリズムに合わせて歩くというものだった。その結果、「前日徹夜グループはおしなべてリズムから外れやすく」(サンテ・マガジヌ、10/27)、普段から睡眠時間が少ない学生も、歩行制御の成績は振るわなかったという。また面白いことに、普段の睡眠時間が少なくても、週末などに寝だめをする学生らは、テストでの歩行制御能力が比較的高いことも判明した。
つまり、「歩行のなかでも歩幅や歩行を制御する能力は、睡眠不足の影響を受ける可能性がある」が、足りない睡眠を補えば、ある程度は歩行制御能力も取り戻せるというわけだ。
この実験は、学生の85%は睡眠時間が8時間未満、40%は6時間未満という事実も明らかにした。これは十分な睡眠量とは言えず、研究者らも「理想的な睡眠時間は8時間である」と明記している。
◆理想的な入眠時間は22時台
一方、11月9日にヨーロピアン・ハート・ジャーナルに発表されたイギリスの研究は、心血管障害リスクを減らすには、睡眠の量だけでなく眠りにつく時間帯が大切であることを示唆するものだ。
これは、2006年から2010年にかけて37歳から73歳の8万8026人の睡眠パラメータを測定調査したものだ。追跡調査中に報告された心血管疾患は3172例あったが、「最も心血管疾患の発生率が低かったのは、午後10時台に入眠しているグループ」だった。この関連性は、入眠時間以外の「睡眠時間、睡眠の不規則性、そのほか心血管障害リスク要素」には影響を受けていない。
具体的には、午後10時台に眠りにつく人と比べ、0時を回って入眠する人の心血管障害リスクは25%、10時前に入眠する人のリスクは24%高い。またこのリスクの比率は、女性の方が顕著であることも判明した。
遅い就寝が体の負担となるのは直感的に理解できるように思うが、早い時間の入眠もまた心血管疾患リスクを高めるというのは意外な気がする。中庸の教えはこんなところにも当てはまるのかもしれない。
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