忙しい人ほど注意 「リベンジ夜更かし」の恐い罠

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 秋の夜長に誘われて、ついつい書を読み耽ったり、観たかった動画をまとめて観たり。寝る前の充実した時間を運んでくれる夜更かしだが、それが昼間のストレスを発散する手段になっているとしたら、要注意かもしれない。このところ世界各地で、日中のストレスを発散するために眠りを犠牲にしてしまう「リベンジ夜更かし」が問題となっている。

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◆忙しいほど陥りやすい「リベンジ夜更かし」とは
 リベンジ夜更かしとは、充実した日中を過ごせなかったストレスを発散しようと、睡眠時間を削って深夜に活動してしまう現象のことだ。睡眠専門誌のスリープ・ファウンデーション誌(2月23日)は、昼間のうちに自由に行動できないことから人々がストレスを感じるようになり、それを取り戻すべく夜更かしの衝動に駆られるのだと説明している。その心理的メカニズムは現在研究が進んでいる最中だが、一説には自制心の欠如だとする見解もあれば、ストレスからの回復時間を確保しようとする反応だとの意見もある。

 リベンジ夜更かしの習慣は、とくにコロナ禍でストレスが高まるようになって以降、世界で問題となっている。英語では「revenge bedtime procrastination(リベンジ入眠時間遅延)」と呼ばれるが、元をたどれば中国で生まれた概念だ。英BBCは、上海の製薬企業で極限まで多忙な日々を過ごしたエマ・ラオ氏の例を報じている。朝9時から夜9時までの週6日勤務という悪夢の「996スケジュール」で働かされたラオ氏は、うつ病寸前まで追い詰められる。それでもなおストレスのはけ口にと、深夜のネットサーフィンやニュースサイトの巡回などに没頭する生活をやめられなかったという。ラオ氏のみならず、このような例は世界でよく見られるようになっている。

◆悪習に気づきにくく、負の連鎖に入ってしまうことも
 寝る時間を削ってストレスを解消することは、健康的な習慣とは言い難い。スリープ・ファウンデーション誌は、「リベンジ夜更かしは一時的には魅力的かもしれないが、就寝が遅く起床が早いとなれば、直ちに深刻な睡眠不足につながりかねない」と危険を訴える。睡眠不足は、思考、記憶、意思決定などの能力を低下させるほか、イライラを感じやすくなるなど感情面で問題を引き起こす原因にもなる。パンデミック以前にオーストラリアの研究者が発表した論文によると、睡眠不足は免疫機能にも悪影響を与えることから、(新型コロナに限らず一般的に)ワクチン接種の効果を低下させる可能性もあるという。

 さらに同誌は、とくに罪悪感を抱くことなく入眠時間を後ろ倒しできてしまうことも問題だと指摘している。たとえば期限のある約束を破れば反省の意識が働くが、とくにタイムリミットのない就寝時間を犠牲にしても罪の意識はなく、気づかないうちに健康をむしばんでしまう危険性がある。

 さらに問題なのは、リベンジ夜更かしが悪循環を招きやすい点だ。睡眠不足は仕事や家事、学業などのパフォーマンスを低下させるため、翌日のやるべき課題が夜間にまでずれ込みやすくなる。そうなれば、束の間の開放感を得るために翌夜も眠りを先延ばしにしてしまうことだろう。睡眠行動医学の専門家であるシェルビー・ハリス氏は、米ワシントン・ポスト紙(6月10日)に対してこうした問題を指摘し、「あとはただ繰り返されるのみです」と泥沼化を警告している。

◆脱却のポイントは
 リベンジ夜更かしの負の連鎖から脱出するには、どのような点を心がければ良いのだろうか。ワシントン・ポスト紙はいくつかポイントを挙げているが、おおむね「より良いスケジュールを立てる」という点に尽きるようだ。日中の不満が重なって寝付けないのであれば、自分のための時間をまずは確保することが解決への第一歩となる。仕事や雑用の予定を確保するのと同様に、自分のための余暇時間を予定に組み込むと良いという。このような時間を生み出すためには、時には無駄な会議や漫然と行っている習慣をふるいにかけることも必要だ。

 日中の達成感を高められたなら、あとは「もう少しだけ」と夜更かししたい気持ちを抑えるしくみを用意すれば完璧だ。就寝前の行動をルーティーン化し、決まった時間に実行すると効果が高い。スリープ・ファウンデーション誌は、「ナイトタイム・ルーティーンは、ベッドに向かわずまだ起きていようという衝動を抑える可能性があります」と述べている。同誌が勧める就寝前の習慣に、本を読む、瞑想する、軽いストレッチをする、などがある。心身をリラックスした状態へと導くことでストレスを感じにくくなり、不満感からくる夜更かしの防止効果が期待できる。

 知らないうちにリベンジ夜更かしをしていないかに注意して、健やかな睡眠サイクルを取り戻そう。

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Text by 青葉やまと