植物肉への「ステーキ」などの表示を禁止 フランスで政令

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◆表示をめぐる争い EU司法裁判所へ持ち越し
 フランスは2022年半ばに、欧州連合(EU)加盟国で初めて植物性タンパク質への伝統的な食肉名称の使用を禁止したが、この措置があまりにも曖昧であり、企業に適応するための十分な時間を与えないとして、行政裁判所によって停止処分になった(ロイター、2/27)。

 この動きを推し進めている食肉業界は昨年9月、代替肉を食肉として販売することは消費者に誤解を与えかねないと主張し、規制の導入を要請した。これに対し、植物由来製品の製造業界は、消費者は「ステーキ」と表示された商品と「ベジ・ステーキ」と表示された商品の違いを見分けることができると主張。フランス最高裁は12月にこの主張を認めたことから、双方の表示をめぐる争いは終わっていない。(タイム誌、2/27)

 植物肉の表示をめぐる議論は昨年、欧州司法裁判所に持ち込まれたが、フランス政府は欧州司法裁判所が裁定を下す前に規制に踏み切った。

 EUは2020年、植物由来の製品に「ハンバーガー」や「ソーセージ」といった食肉によく使われる表記の使用を禁止する提案を却下した。この案に反対した政策専門家は、植物由来の製品を試すことを消費者が躊躇(ちゅうちょ)することになり、EUの気候変動目標に悪影響を及ぼすと、その理由を示した。(タイム誌)

 現在、EUでは、植物性乳製品の代替品に「ミルク」「バター」「ヨーグルト」といった言葉を使用することが禁止されている(ユーロニュース、2/28)。

Text by 中沢弘子