ドイツ・ベルリン、リニア計画を発表 8000万ユーロ投じ実験線

博物館に展示されるMバーンの車両|FloSch / Wikimedia Commons

◆専門家からは疑問の声も
 課題もある。ベルリン市は2045年までに気候中立(温室効果ガスの実質ゼロ達成)を目指しており、今回の計画には気候基金から8000万ユーロ(約131億円)を投じる。だがユーロ・ニュースによると、浮上式リニアの具体的な完成時期は未定だ。

 ブルームバーグ(11月23日)は、計画に対する否定的な見解を取り上げている。ベルリン工科大学海上・陸上交通システム研究所のマルクス・ヘヒト教授は現地紙に対し、ベルリンの交通網にはほかに改善すべき点が多いことから、新たな計画には「非常に驚いている」と語ったという。CDUは今年2月以降、自転車専用レーンの廃止などを打ち出しているが、広く国民の理解を得るに至っていない。

◆新方式に積極的なベルリン
 ユーロ・ニュースによると、過去にもベルリンでは試験期間も含めて1984年から1991年にかけ、磁気浮上式の「Mバーン」が運行されていた。1.6キロの路線に3つの駅を設けて運行したのち、ベルリンの壁の崩壊後に廃止されている。

 1990年代半ばには、ベルリンとハンブルクを結ぶトランスピッド線の計画もあった。しかしローカル誌によると、費用面の理由により2000年に棚上げされている。CDUベルリンはその後、2020年になってこの計画を再提案し、今回の路線とは別にベルリン空港と住宅地域を結ぶ浮上式リニアの建設を検討している。さらにハンブルクでも、浮上式リニア線の建設が検討されている。

 今回の浮上式リニアを含め、ベルリンは近未来的な交通機関に積極姿勢を見せているようだ。

Text by 青葉やまと