中国の高速鉄道、効率無視で負債86兆円 それでも建設は続く

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 2018年末で、時速250キロ以上で走る中国の高速鉄道網は、2万9000キロを超えた。10年前の世界金融危機以降、急速に進んだ高速鉄道建設だが、大都市エリアを除いては、採算が取れていない路線が数多くあるとされる。多額の建設費と非効率が問題視されているにもかかわらず、新路線が続々と開業している。

◆10年で急成長 中国高速鉄道網は世界最長
 中国の初の長距離高速鉄道は、2009年に広州と武漢の間で開業した。1100キロを3時間で結んだこの路線は、借金を原動力とした、世界金融危機への中国共産党の回答だったと、フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は述べる。高速鉄道への投資はコンクリートや鉄、その他のコモディティの需要を押し上げた。サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)によれば、高速鉄道建設が始まった2008年には、中国の鉄道への固定資本投資は61.5%増となり、2009年にはさらに69.1%増となっている。

 中国高速鉄道はその後も続々と建設され、いまや距離では実に世界の高速鉄道の3分の2を占める。スペイン、日本、ドイツ、フランスが続くが、2位のスペインでさえ3100キロほどなので、中国の規模がいかに大きいかわかる。

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Text by 山川 真智子