なぜ日本の賃金は上がらないのか? 海外メディアの見る問題点

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◆先行き不透明。業績好調も企業は慎重
 フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は、熾烈な国際競争が、企業側が大幅な賃上げに踏み切れない理由の一つだと見ている。例えばトヨタの場合、シリコンバレー企業がライバルとして参入してきたことからビジネス環境は厳しく、電気自動車や自動運転技術のコストも上がっている。結局今年の春闘では平均3.3%の賃上げとなったが、一世紀に一度の転換期と、食うか食われるかの環境に直面し、会社としてどのように競争力を維持するかを労使で話し合ったと、トヨタのシニア・マネージャーは語っている。変化の早い未来への危機感はかなり強いようだ。

 その他の賃金上昇が鈍い理由として、企業の内部留保が大きいこと、労組の交渉力が弱いこと、日本企業の生産性が低いことなどを、ブルームバーグは上げている。

◆賃上げに頼り過ぎ?インフレが起きないのには他の理由も
 緩い賃上げは、日銀が目指す2%のインフレ達成への最も大きな障害となっているとFTは述べ、賃金が上がらなければ消費も伸びず、物価への上昇圧力もほとんどないと述べる。

                                                                                                                 

 しかしエコノミスト誌は、賃金が早く上がれば消費者も自信を取り戻すという考え方には納得していない。独立行政法人経済産業研究所の調査では、20代、30代の約60%が、将来の経済的不安から、消費に消極的と答えているからだ。

 同誌は、彼らが老後を迎えても支払い能力があるシステムだと若者を安心させるため、費用のかさむ年金制度を変えて行かねばならないという、経団連の新田秀司氏の意見を紹介する。また、サントリーの新浪剛史社長の、教育と訓練に投資することも賃金と同様に重要だという意見にも言及し、賃上げですべてが解決するのではないとしている。

Text by 山川 真智子