人口流出、より貧しい国からの移民 ポーランドに見る欧州の移民の流れ

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 ポーランドの2017年のGDPは、近隣諸国やEUの好調な経済活動にも助けられ、2011年以来最高の4.6%増となった。しかしEU加盟以来、域内の稼げる国に働き手が流出しており、現在の成長を支えているのはウクライナからやってくる労働者たちだ。今後ポーランドの人手不足はより深刻になると見られ、経済成長の妨げになると懸念されている。

◆人口流出で働き手減少。頼りは外国人
 景気の拡大するポーランドは、実は高齢化と若い労働人口の流出が進んだ国だ。2004年のEU加盟以来、推定100万人のポーランド人が、職を求めてイギリスに向かった。失業率は1990年以来最低となっているが、3800万人の人口のうち、働いているのは1600万人にすぎない。現在、ポーランド国内で労働力不足の穴を埋めているのはウクライナ人とベラルーシ人で、特にウクライナが労働市場と経済を支えている(ドイチェ・ヴェレ、以下DW)。

 親欧米の市民による抗議デモで親ロシア派の政権が倒れた2014年の騒乱後、ウクライナの景気は低迷。通貨は崩壊し、労働者は海外に仕事を求めている(DW)。ウクライナの国家統計局の調べでは、2015年から2017年に国外を目指した労働者の半分近くがポーランドに渡っている。ポーランドの平均月収がウクライナの4、5倍ほどもあることが、大きな魅力となっている(ブルームバーグ)。

 現在ポーランドでは約100万人から150万人のウクライナ人が働いていると推定される。しかし、ワルシャワの東欧研究者、Wojciech Kononczuk氏は、その多くが労働許可証を持たず、仮契約で就労していると見ている(DW)。

Text by 山川 真智子