「テキサス新幹線」に最大の課題 財界は期待も沿線住民から不安の声

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◆既存交通網との戦い
 ただし、計画に反対する沿線住民は多い。ヒューストンのニュースチャンネルABC13(2月5日付)は、「テキサスでの高速鉄道の成功は見込めない」とする反対派の声を紹介している。片道およそ200ドルというチケットは同区間に就航する飛行機の代金に相当するため、反対派住民は集客性を疑問視する。また、既存の自家用車のドライバーたちも高いコストを嫌うのではと見る。

 一転してフォーブス誌では、むしろ高速鉄道側が優勢との立場を示している。日に20往復の飛行機が同区間を結ぶが、およそ1時間の飛行時間に加え、チェックインや保安検査に時間を取られるほか、遅延の懸念もある。さらに、自家用車の場合は4時間以上を要する。高速鉄道ならば90分で目的地に着くことが保証されており、差は歴然だ。

 こうした個人レベルの選択に加えて、新交通網は都市レベルでも必要とされている。ヒューストン・クロニクル紙(1月30日付)によると、ヒューストンとダラスを含む都市圏の人口は、2040年までに1000万人に達する。既存の道路網だけでは需要に耐えきれないと予測されていることから、年間延べ500万人の利用者を見込む高速鉄道は、両都市の役職者と企業らから強い支持を得ている。

                                                                                                                 

◆用地買収に課題
 ヒューストン・クロニクル紙によると、計画への反対者は、主に両都市の中間の農村部に多い。ダラス郊外のエニスでは1月、連邦鉄道局による地元説明会が開かれたが、発言した36人の住民はみな反対意見を述べた。5~7世代にわたって住んできた土地の魅力が損なわれるとの内容を「感情的に発言した」とされるほか、騒音と安全面についても懸念が示された。

 フォーブス誌では、高速鉄道の完成の暁には経済的な成功が見込めるとしているものの、「最大のハードルは、非協力的な地主らに売却を迫る土地収用権の行使をめぐる紛争」だとしている。テキサス州議会は新法制定による和解などには関与しない方針を示しており、状況の打開に向けた決定打は見えない。

 中間駅が1駅しかなく、通過地域への恩恵が少ないことも反発の一因と思われるが、フォーブス誌は安易な増設に警鐘を鳴らす。記事では日本の東海道新幹線の例を挙げ、15もの停車駅によって速さが犠牲になっていると指摘する。対するテキサスでは、現状では1駅しか計画されておらず、速度面では確かに利がある。高速かつ安全な交通手段として日本の新幹線方式が採用された計画だが、技術面以外の思わぬ課題に直面している。

Text by 青葉やまと