「テキサス新幹線」に最大の課題 財界は期待も沿線住民から不安の声

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 アメリカのテキサス州で進む高速鉄道計画は、連邦鉄道局による環境評価を昨年12月に終え、沿線住民によるレビュー段階へと入った。日本の新幹線方式を採用する計画について、恩恵を受ける都市部では市や企業らの関心が高い。しかし通過地域となる農村部の地主らは用地買収に非協力的であり、紛争に発展している。

◆テキサスは高速鉄道に最適
 フォーブス誌(2月11日付)は、テキサスとダラスを90分という短時間で結ぶ高速鉄道のメリットを強調する。寄稿者であるサルバトーレ・バボネズ氏(シドニー大学社会学教授)は「SFの絵空事ではない。実現性のあるプランだ」と歓迎する。計画を進めるテキサス・セントラル・レイルウェイは、投資家からすでに1億ドル以上を調達したと見られるほか、連邦鉄道局の環境評価をクリアしている。

 バボネズ氏が注目するのは、テキサスの地の利だ。東京・大阪間を2時間22分で運行する日本の新幹線技術を讃えつつも、日本には山が多いため、急カーブやトンネルなどで減速を強いられていると惜しむ。テキサスには広大な大地が広がるため、減速によるロスが少ない。また、アメリカの他の州との比較でも優位だ。アメリカでは他にもニューヨーク周辺でのリニア計画があるが、過密状態の都市部を避けるためトンネルの掘削が必須となり、高額な費用が問題となっている。こうした課題がないため、アメリカで最も投資対効果に優れる高速鉄道計画だというのがバボネズ氏の見解だ。

Text by 青葉やまと