日本は“電気自動車革命”に取り残される? 「過去最大の挑戦」が状況を変えるか

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 自動車産業の電気自動車への移行が急ピッチで進んでいる。世界では、アメリカの電気自動車ベンチャー、テスラが急速にシェアを伸ばし、最大市場の中国では需要が急増している。各国の自動車メーカーの間では既に、電気自動車用のバッテリーに不可欠なリチウムなどの希少な原料の争奪戦が始まっていると言われている。

 その中で、これまで自動車大国として君臨してきた日本の自動車産業の将来を危惧する声も聞かれる。米ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)は、「電気自動車の未来が明るくなるにつれ、日本が取り残される懸念も増す」と、世界で唯一、充電式の電気自動車ではなく水素燃料電池車にこだわる日本のジレンマを伝えている。ここに来て、トヨタがパナソニックとの電気自動車用バッテリーの共同開発を発表するなど巻き返しを図っているが、果たしてすぐそこまで来ている”電気自動車革命”に間に合うのか。世界が注目している。

                                                                                                                 

◆日本は自動車でもガラパゴス化?
 世界の自動車メーカーのほとんどが充電池式の電気自動車(EV)の開発に注力する中、日本のメーカーと政府は水素燃料電池車(FCV)にこだわってきた。トヨタはFCV『ミライ』を2014年に、ホンダは同『クラリティ』を2016年に世界に先駆けて発売。政府も「水素社会」へのイノベーションを後押ししており、水素スタンドの建設などを含む官民一体のプロジェクトに予算を投じている。

 トヨタなどは、EVは今のところ信頼性に欠け、航続距離も限られているなどとしており、より現実的な選択としてFCVに注力したと言える。しかし、世界はFCVを既に見限っており、早くも新たな日本の”ガラパゴス”誕生かという指摘も多い。NYTは、「その技術に対する情熱は他の国では消えた。理由の一つは、水素をドライバーに供給するために、巨大で高価な新たなインフラを必要とするからだ」としている。

 もう一つの理由は、EV用のバッテリーの技術革新と価格の下落が予想よりも早く進んでいることだ。中国を筆頭にEV用リチウムイオン電池の需要が急ピッチで伸び、生産が拡大した結果、価格が急落。同時に航続距離の増大と充電時間の短縮といった技術の進歩も目を見張るものがあるとNYTは指摘している。

Text by 内村 浩介

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