グリンデルバルドは危険で冷酷な魔法使い?宿敵との関係から見える素顔とは

グリンデルバルドは危険で冷酷な魔法使い?宿敵との関係から見える素顔とは

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『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』シリーズでもっとも人気のある魔法使いの1人、ゲラート・グリンデルバルド。ジョニー・デップ、マッツ・ミケルセンなどの名優による演技が、その特異なキャラクターをより一層際立たせている。

物語内のグリンデルバルドは冷酷非道な極悪人で、魔法の力はダンブルドアやヴォルデモートにはおよばないとの見方も強い。それでもなぜ多くの人を惹きつけるのか。今回はグリンデルバルドの不思議な魅力を探っていく。

グリンデルバルドのプロフィール

グリンデルバルドのプロフィール

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名前ゲラート・グリンデルバルド(Gellert Grindelwald)
出生年1883年頃
没年月日1998年3月(115~116歳)
出身地・国籍不明
血統純血か半純血
出身校ダームストラング専門学校
活動エリアイングランド、ニューヨーク、パリその他ヨーロッパ全域
職業魔法使い
主な道具ニワトコの杖

グリンデルバルドの生涯

グリンデルバルドの生涯

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グリンデルバルドがヴォルデモートにより命を絶たれたのは、115~116歳だといわれる。グリンデルバルドの長かった波乱の生涯を、4つの時代に分けて振り返る。

魔法学校時代

若き日のゲラート・グリンデルバルドは、ヨーロッパのダームストラング専門学校で魔術を学んでいた。当時の彼は陽気かつ奔放な性格で、ハンサムな外見を持ち愛嬌があったという。

一方でグリンデルバルドは闇の魔術を渇望し、3つの「死の秘宝」を手に入れることを強く望む。この時点で早くも、魔術で世の中を制圧する強い野心も覗かせていた。

学力こそ優秀であったが、グリンデルバルドはその探求心の強さゆえに「歪んだ闇の実験」と呼ばれる常軌を逸する行為に及び、生徒に致命傷を負わせてしまう。この実験が学校の容認の域を超え、彼は16歳で放校処分を受けた。

宿敵・ダンブルドアとの出会いと決別

ダームストラングを退学後、グリンデルバルドは即刻ゴドリックの谷へと向かう。ゴドリックは「死の秘宝」のひとつ「透明マント」縁の地であるとともに、大おばで『魔法史』著者のバチルダ・バグショットの住む場所でもあった。

アルバス・ダンブルドアとも、ここゴドリックで出会っている。2人は死の秘宝に惹かれると同時に「より大きな善のために」という旗印のもと、魔法使いによるマグル世界(非魔法界)の支配計画で意気投合。このとき2人は互いを攻撃しない「血の誓い」を交わした。

ダンブルドアはマグルの攻撃により精神が不安定になった妹・アリアナの面倒を見ていた。しかし、グリンデルバルドと意気投合してからというもの妹の世話に身が入らず、弟・アバーフォースの反感を買い、争いを招いてしまう。

アリアナが3人の争いに巻き込まれ死に至ったことにより、グリンデルバルドとダンブルドアは決別し、長く別々の道を歩むことになる。

ニワトコの杖で世界支配への野望

「死の秘宝」の一つ「ニワトコの杖」を入手したグリンデルバルドは、世界支配への野望を一層あらわにする。

グリンデルバルドはダンブルドアのいるイギリスを避けながら、ヨーロッパで勢力を拡大していく。「ゲラート・グリンデルバルドの軍隊」と呼ばれる信奉者組織を率いる彼は大量虐殺を繰り返し、反旗を翻すものをことごとくオーストリアのヌルメンガード城に収監した。

将来ダンブルドアとの対決を目論むグリンデルバルドは、ニューヨークで協力者を探す。不覚にも一度逮捕されるものの、脱獄に成功、その後はパリへと拠点を移している。引き続きヨーロッパで勢力を拡大し、1930年代ついにマグルに対し念願の宣戦布告。時代は魔法界・マグル界双方の世界大戦へと突入する。

敗北から晩年まで

かつての盟友・ダンブルドアは、グリンデルバルドの暴挙を憂慮していた。「血の誓い」があるために交戦をためらっていたものの、グリンデルバルドの支配に苦しむ民衆の進言により、ついに重い腰を上げる。

こうして1945年、グリンデルバルドはダンブルドアと直接対決をする。結果はダンブルドアの勝利。このときニワトコの杖はダンブルドアの手に渡った。

敗北によりグリンデルバルドは、自身の建てたヌルメンガード城に幽閉されることとなる。後年の彼は城で過去の罪を悔いたといわれるが、定かではない。

晩年、ニワトコの杖の行方を探るヴォルデモートが、グリンデルバルドを訪ねている。しかしグリンデルバルドが頑として杖の在り処を教えようとしなかった。怒ったヴォルデモートは彼を殺害、100年を超えるグリンデルバルドの生涯はここで幕を閉じる。

エピソードから探るグリンデルバルドの魅力

エピソードから探るグリンデルバルドの魅力

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グリンデルバルドの人格と性格には謎が多い。多面的ともいえる彼の素顔と魅力を、物語中のエピソードから紐解いていく。

人を虜にするカリスマ

物語中でのグリンデルバルドは、目的のためには手段を選ばず殺戮もいとわない支配者として描かれている。その一方で、人心を掌握し操ることに長けた、カリスマ性のある人物だったことも伺える。

若き日のグリンデルバルドが語った魔法使いによるマグル支配の構想は、ダンブルドアに妹の存在すらも忘れさせてしまうほどのインパクトを与えた。

さらにグリンデルバルドは巧みな話術で協力者や信奉者を増やしていた。このことはレストレンジ家霊廟での演説で、多くの信奉者を熱狂させ扇動したことに象徴されている。

ニューヨークで逮捕されたときには、あまりに話術に長け看守を虜にしてしまうことから、舌を切断されたとのエピソードもある。

おそらく魔法界において、話術と人心掌握術でグリンデルバルドの右に出る者はいないであろう。

巧妙な策士で戦略家

グリンデルバルドは巧妙な戦略を駆使する策士でもある。

ニワトコの杖をグレゴロビッチから奪取する際には、相手を失神させる奇策を用いている。伝説および魔法界の常識で、杖を手に入れる唯一の方法は主人を殺害することであった。

さらにニューヨークで魔法保安局長官・パーシブル・グレイブスになり替わって潜伏したのは、破壊的な力を持つオブスキュリアルに接近するためであった。それにより彼はクリーデンスの協力を得ることに成功した。

こうして次から次へと策を繰り出すグリンデルバルドの鋭敏さにより、物語はリズミカルに展開されている。

予言者

グリンデルバルドには、ビジョンを見ることにより未来を予言する能力があったとされる。

聴衆を扇動したレストレンジ家霊廟の演説で、グリンデルバルドがマグル界の第二次世界大戦と原子力兵器の使用を予言していることが印象的である。

最後にグリンデルバルドがヴォルデモートと対面した際に、ヴォルデモートに対し「お前は勝てない」と宣言した。事実、その後ヴォルデモートはハリー・ポッターに敗北しており、グリンデルバルドは時代と世代を跨いだ予見能力を発揮したといえる。

ヴォルデモートと並ぶ魔法界の強者

魔法ワールド愛好者の間では、グリンデルバルドとヴォルデモートのどちらが強いかとの議論が絶えない。総じて、個人の戦闘力ではヴォルデモートが勝り、人望などの総合力ではグリンデルバルドが優位との見方が強いようだ。

そもそも2人の強さは性質が異なるため単純に比較はできない。ヴォルデモートは恐怖で人を支配し、一方のグリンデルバルドは人を洗脳し味方に付けることに長けているからだ。

2人は直接対決をしておらず、個々の戦いが『ファンタスティック・ビースト』『ハリー・ポッター』2つのシリーズに分かれている。それぞれ暗躍した年代が異なることも、実力比較を難しくしている要因といえる。

人間的な脆さの持ち主

一見冷徹・怜悧に見えるグリンデルバルドだが、作中では脆さとも取れる人間臭い一面も見せている。

彼が大事な場面で怒りの感情を抑えられなかったために、判断を誤り失敗したことは一度や二度ではない。ダンブルドアとのマグル支配計画を弟に否定されたとき、グリンデルバルドは怒りにまかせ、弟・アバーフォースに磔の呪文を掛けた。それをきっかけにアリアナ・ダンブルドアを死なせる凄惨な争いを引き起こしてしまった。

ニューヨークでグレイブスになり替わっていた際にも、怒りのあまり正体を露呈させ逮捕されてしまう失態を犯している。

一方原作では、グリンデルバルドがヌルメンガード城に幽閉されてから、過去の罪を悔いたことを匂わせており、彼の道徳心の片鱗が垣間見える。

キャスト変更にも揺るがない個性

映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズは、グリンデルバルド役のキャスト変更があったことでも話題を呼んだ。グリンデルバルド役のジョニー・デップが、当時の妻・アンバー・ハードとのDV裁判がもとで役の降板を余儀なくされたのだ。

2020年のジョニーの事実上敗訴により、ワーナー・ブラザーズは彼に降板を要請し、本人が受理。急遽、代役にマッツ・ミケルセンが抜擢されている。

後任のマッツ・ミケルセンはハリウッド大作からインディペンデントまでこなす大物俳優。マッツはジョニーへ敬意を表しながらも、彼とは異なるオリジナル路線を貫き、ファンを魅了している。

キャストが変更されても、原作者、監督そしてファンの誰一人として、グリンデルバルドのキャラクターに違和感を申し立てる者はいない。変幻自在の人格を持つ人物として、万人が納得しているかに見える。

グリンデルバルドの魅力は比類のない多面性

魔法ワールド好きの心を掴んで止まないグリンデルバルドの魅力は、彼独特の知性と感情が織りなす多面性にある。

過去の作品を振り返りつつ、映画『ファンタスティック・ビースト』シリーズの次回作を楽しみにしたい。

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Text by NewSphere 編集部