ルーブル美術館は3割も パリ観光スポットの入場料値上げは妥当?

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◆入場料値上げは妥当か
 値上げしたルーブル美術館だが、たとえばニューヨークにあるメトロポリタン美術館の入場料30ドル(約28ユーロ)と比較すると、値上げ後でも2割以上安い。また18歳未満の人、欧州経済領域(EEA)に暮らす26歳未満の若者の入場に関しては入場料無料である。ルーブルの発表によると、全体の4割、フランス人の6割の訪問客が無料で来場しているとのことだ。この点を踏まえると、今回のルーブルの判断は、芸術文化へのアクセスの確保と、財政管理のバランスをとるという意味において妥当な判断とも考えられる。ちなみに、ロンドンの大英博物館は、寄付が推奨されるものの、常設展に関しては誰に対しても基本的には無料である。

 実際、外国からの訪問客はルーブル美術館の入場料値上げについては、特に気にしていないようだという報道もある。フランス24のインタビューに応じたオーストラリアからきた59歳の観光客は、値上げについては知らなかったようで、オーストラリアからわざわざ来た自分たちにとっては、値上げはさほど気にならないというようなコメントをしている。

 新型コロナウィルスのパンデミックからの反動と、オリンピック需要でますます訪問客が増えることが予測されるパリ。今回の入場料の値上げは、現状、観光客の計画を大幅に変更するようなものではなさそうだが、エネルギーコストを含む物価の上昇が続くなか、今後、ほかの美術館や観光施設も値上げの判断を下す可能性はありそうだ。

Text by MAKI NAKATA