アフリカ化する世界:クリエイティブセクターの可能性

ラゴス・ファッション・ウィーク(10月26日)|Sunday Alamba / AP Photo

◆グローバル・カルチャーを席巻するアフリカ
 昨今、音楽、ファッション、建築など、さまざまな分野でアフリカ系のクリエイターたちが活躍している。たとえば、音楽では西アフリカ発のアフロビーツ(Afrobeats)という音楽ジャンルが、世界各地で人気を集めており、昨年はアフロビーツの音楽が130億回再生されたそうだ。一昨年の80億回から1.6倍にも増加した。また、ファッション業界においても、南アフリカやナイジェリアのデザイナーが欧米で活躍している。グローバルなラグジュアリーファッションの世界において、若きデザイナーの登竜門として知られる「LVMHプライズ」の最優秀賞を2019年に受賞した南アフリカ出身のテベ・マググは以後、自身のコレクションを世界展開するほか、アディダスやディオールなどとのコラボレーションを実現させた。ユネスコ(国連教育科学文化機関)が先月発行したアフリカファッション業界に特化した初の調査報告書によると、155億ドル相当の布や衣料品、靴がアフリカから世界市場に輸出された。同報告書では、アフリカファッション業界のさらなる可能性を示唆する。

 また、近年ではアフリカ系の建築家の活躍も目立つ。たとえば、2022年にはブルキナファソ出身のフランシス・ケレが建築界の最高栄誉とされるプリツカー賞を受賞。現在開催中のヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展では、ガーナ系レズリー・ロッコがキュレーターに任命され、アフリカ系の建築家にフォーカスしたキュレーションを行った。

 日本やアジアから見ると、いまだアフリカ大陸は遠い存在かもしれない。しかし、韓国のポップカルチャーがそうであるように、日々接するグローバル・カルチャーのなかに、気がついたらアフリカがあふれているという日もそう遠くはないのかもしれない。

Text by MAKI NAKATA