パリ五輪、なぜ3分の1の県は聖火リレーに参加しないのか?

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◆県負担は18万ユーロ
 当初オリンピック委員会は聖火リレーへの参加費を約8万ユーロ(約1300万円)と見積もっていたが、最終的にこの額は18万ユーロ(約2800万円)にもなった。今回リレーを行わない約30の県は、1日で終わる聖火リレーの通過にそれだけの価値がないと判断したということだ。

 実際この額は、特に農村地域の県にとっては法外なものだ。県ごとに人口も異なれば懐具合も異なるが、聖火リレーに関しては、一律の額が請求されるという。1992年に冬季オリンピックが開催されたサヴォワ県も経済的理由でリレー参加を諦めた県の一つだ。

 1992年冬季オリンピックが開催されたアルベールビル市のスポーツ部門準責任者バタイエ氏によれば、サヴォワ県の不参加決定後、オリンピック組織委員会から、アルベールビル市内だけでも聖火リレーに参加してほしいという要請があった。ただし、その場合でも約4万7000ユーロ(約740万円)の費用負担が必要で、人口2万にも満たないアルベールビル市には簡単に出せる額ではなく、この話も断らざるを得なかった。(フランス・アンフォ、6/23)

 実際、聖火リレー誘致にかかるお金があれば「長期的な恩恵をもたらす市民のためのプロジェクト支援が可能」と考える地方自治体は少なくないという(フランス・アンフォ、6/27)。

◆政治イデオロギーとは無関係
 パリオリンピック組織委員会の広報アロイジオ氏によれば、18万ユーロは聖火リレーのための人・物の移動、看板、宣伝などイベント費用の一部に充てられるものだという(ル・ポワン誌)。

 一方、ロワール・アトランティック県議会のパアン議員は、オリンピックの聖火は国際オリンピック委員会(IOC)の所有物で、IOCはそれを1日45万ユーロでフランス・オリンピック組織委員会に貸し出しているのだと公言。その商業主義を強く非難している。ただし、パリオリンピック組織委員会はこの批判を根も葉もないことだと否定しており、今のところ真相は明らかではない。(フランス・アンフォ、6/27)

 最初の話に戻ると、市長がエコロジストであるストラスブールやポワティエ、ボルドーは聖火リレーに参加の予定だ。そのうちボルドー市などは、所在するジロンド県が聖火リレー不参加を決めた後に、近隣の都市と連合を組んで資金を集め、県は不参加だが市として聖火リレー開催を決めたほどの熱意を見せている。このことからも明らかなように、聖火リレー不参加とエコロジー政党とは何の関係もない。

Text by 冠ゆき