パリ五輪、なぜ3分の1の県は聖火リレーに参加しないのか?

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 1年後に控えたパリオリンピックの聖火リレーの行程が6月23日、発表された。組織委員会の当初の構想では、聖火は本土の96県と海外県すべて、町の数でいえば700以上を駆けめぐるというものであった。しかし、蓋を開けてみれば、聖火がめぐる都市は400強のみ。フランス第3の都市であるリヨンや、1986年冬季オリンピック開催地だったグルノーブルの名前さえない。県の数でも、本土96県のうち64県のみだ。それはなぜか?

◆ギリシャから帆船でマルセイユへ
 パリオリンピックの聖火は、4月末にギリシャを出発し、帆船で地中海を渡りフランス南部の港町マルセイユに運ばれる。マルセイユ到着は5月8日の予定で、その後7月26日のパリの開会式まで68日間、全国各地を聖火リレーが巡回する。

 この「全国」には欧州以外の仏領土も含まれ、遠くカリブ海や南太平洋、インド洋、南米に散在する海外県もめぐることになっている。ところが、距離でいえばずっと近いフランス本土では、ほぼ3分の1にあたる県が、聖火リレーに参加しないのだ。

◆エコロジスト市長を批判する声
 聖火リレーを行わない町のうち、リヨンとグルノーブルの市長は環境政党「ヨーロッパエコロジー・緑の党(EELV)」に所属する。同党の政治家はこれまでも伝統であるクリスマスツリー設置や、夏の恒例スポーツ、ツール・ド・フランスを非エコロジカルだと批判したことで知られている。そのため、今回の聖火リレー不参加も市長のエコロジー主義のせいだと考える人がいるようで、SNS上では「EELVは市民の生活を台無しにすることが目的か」などの批判の声が散見される(フランス・アンフォ、6/27)。

 だが、実は聖火リレー不参加と政治は何の関係もない。聖火リレーに参加できない理由は、何よりも経済的なものだからだ。

Text by 冠ゆき