「いつかイチローのようになりたい」憧れてプロになったアメリカの若手たち

John Kershner / Shutterstock.com

◆アジア系でもできる! 自信をくれたイチロー
 4月にメジャー・デビューを果たしたクリーブランド・ガーディアンズのスティーブ・クワン選手(25)も、子供時代からイチローに憧れてきた。クワン選手は中国系アメリカ人だが、母方の祖母は日系だ。球団の広報誌ガーディアンズ・ビートによれば、祖母が見る日本のニュース番組で、子供のころからイチローのプレーを見ていたという。

 加藤選手と同様に、クワン選手も自分とイチローを重ねていた。大きなホームランを打たず、マッチョにも見えないのに、イチローは常に起用され自分の仕事をこなしていた。成功しスターになっていく姿を見て、体の小さいアジア系でもできるんだと、175センチと野球選手としては小柄なクワン選手は、イチローの活躍に自信をもらったという。

 イチローの殿堂入りセレモニーを会場で見ていたというクワン選手は、一人のファンに戻らざるを得なかったという。最前列で見守りながら一秒一秒を大切に過ごしたクワン選手は、イチローに直接会うことはできなかったが、サイン入りユニフォームを手に入れたそうだ。大切な宝物になることは間違いないとし、すぐに額に入れておくと話した。

◆近づきたくて真似た いつか会いたいヒーロー
 イチローの影響を受けた選手は、アジア系以外にもいる。トロント・ブルージェイズ傘下のバンクーバー・カナディアンズに所属するアディソン・バージャー選手(23)は、マリナーズのあるワシントン州の出身だ。トロントのローカル紙プロビンスによれば、バージャー選手は4歳から野球を始めた。もともと右利きだが、10歳のときにイチローのようになりたくて左打ちも練習し、スイッチバッターになった。


 2001年にイチローがマリナーズに入団したときは2歳で、以来マリナーズの試合といえば見どころはイチローだった。6歳でフロリダに引っ越したが、親戚もいたため夏になるとシアトルに戻り、試合を見ていた。

 バージャー選手は、身長183センチとイチローに比べ大きい。左打ちを始めたころは、イチローのスタイルをまねていたが、現在は本塁打を狙うまったく異なるスイングになっているという。本人曰く、「大のイチローファン。最大級のファン」だが、左打者となる機会をくれたヒーロー、イチローとは一度も話したことがない。いつかつながりができることもあるのではと問われると、「ぜひぜひ会ってみたい。そうなれば大事件だけど」と答えている。

【関連記事】
「人生捧げ、美しかった」「伝説よ、さようなら」イチローに米球界が贈った言葉
史上最高の日本人MLB選手ランキング 世界が選ぶ1位は伝説と評されたあの選手
移籍のイチロー、控えは妥当? “もったいない”、“代打大丈夫?”…米メディア論評

Text by 山川 真智子