「いつかイチローのようになりたい」憧れてプロになったアメリカの若手たち

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 米大リーグで数々の記録を残し、最も活躍した日本人選手と言えば、マリナーズなどで活躍したイチロー(以下敬称略)だろう。日本でもたくさんの球児たちが憧れてお手本としたが、実はアメリカでもイチローのファンとなり野球の道を選んだ子供たちが、現役選手として活躍している。イチローの影響を受けた選手たちが、その魅力を語っている。

◆才能だけじゃない 真の偉大さは野球に対する姿勢
 イチローを尊敬し、「レジェンド」と呼ぶのはトロント・ブルージェイズなどでプレーし、今オフに日本ハムファイターズにドラフト指名され入団した加藤豪将選手(28)だ。アメリカ時代から日本での練習に招待されるなど、イチローと近しい関係を築いており、引退に際し「イチローさん、お疲れ様でした」と題した記事を米スポーツメディアのプレイヤーズ・トリビューンに寄稿し、イチローの偉大さについて語っている。

 加藤選手はアメリカ生まれで、3歳で日本に帰国。5歳のときに再び家族とともにアメリカに戻りサンディエゴに移住した。当時英語も不自由で周りになかなか馴染めなかった加藤少年は、サンディエゴ・パドレスとシアトル・マリナーズの試合で見たイチローのプレーに感動する。不慣れなアメリカで異質な存在であることを受け入れた上で、自信に満ちあふれたプレーをするイチローに自分を重ね、同じように輝きたいと思ったそうだ。

 イチローがアメリカ社会に溶け込む勇気を与えてくれ、自身の人生を変えてくれたという加藤少年は、イチローの背中を追って野球選手となった。体が大きな選手にも負けないイチローには素晴らしい才能があったが、真の偉大さは彼の持つ野球観にあると加藤選手は気がついたという。その価値観とストイックさを模倣することで、野球選手として飛躍できたとし、イチローに心から感謝していると述べている。

Text by 山川 真智子