「検査がいつもと違った」ジャンプ失格続出、選手・関係者はどう見た?

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◆新種目のドタバタ 女子ジャンプ界にも悪影響
 失格になったドイツのカタリナ・アルトハウス選手は、国際スキー連盟(FIS)を痛烈に批判した。男子と違い、女子にはこれまでノーマルヒルの1種目しかなく、団体競技もなかった。ジャンプ混合団体は女子選手にとってまさに初演だったのに、晴れの舞台が台無しにされてしまったと述べる。これまで11年間失格になった経験はないという同選手は、今回選手はすべてを捧げてベストジャンプを披露したとし、とても残念で怒りを覚えるとインスタグラムに投稿した。(豪7News

 ドイツのスタージャンパー、カール・ガイガー選手も女子選手ばかり失格になったのでは、一夜にして女子の規則が変更されたのかと自問自答しなければならないと述べる。これだけ多くの選手を失格にするには、正しいタイミングでも場所でもなかったとSNSで苦言を呈している。(AFP

◆圧勝も影薄く 失格選手にスポットライト
 混合団体を制したのはスロベニアだったが、その勝利は2位、3位を大きく引き離す圧勝だったにもかかわらず、今回の騒動で輝きを失う恐れがあったとAFPは述べている。ルールはルールなのに失格した選手にばかり注目が行くことに歯がゆさを感じるジャンパーもいたということだ。

 五輪ジャンプで初のメダル獲得となったカナダも、ランク外だったのに混乱に乗じてメダルを獲得したとロイターにはネガティブに報じられた。銅メダリストとなったマシュー・ソウクップ選手は、「実はかなり驚いている」と本心を語っているが、良いジャンプをすれば何かが起こると思っていたとし、運も実力のうちと考えているようだ。

 今回の大混乱を受け、ノルウェースキー連盟のジャンプ部長、クラス・ブレーデ・ブローテン氏は、スキージャンプを代表して申し訳なく思うと発言。この問題は五輪前に片付けることだったと述べ、新種目導入がこんな結果で終わってしまったことは痛恨の極みだとしている。(ロイター)

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Text by 山川 真智子