納豆、ねずみ漬ワイン……「気持ち悪い食べ物博物館」が問う嫌悪感の深層 スウェーデン

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◆嫌悪する理由
 ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)によれば、館内には実際に展示されていない食品を含め、250の食品に関するパネル展示がある。「不快」基準は4つあり、味、臭い、質感、そして食料となる生き物がどう扱われたかといった背景である。例えば豚の脳は、味、香り、質感は問題ではないが、背景の不快度がとても高くなっている。日本の納豆は、粘りがあるので質感の不快度が高くなっているといった具合だ。

 昆虫によくあることだが、質感の組み合わせも嫌悪感を催しやすいという。ルンド大学の食品人類学者であるハカン・ジョンソン氏は、「亀裂のある(乾いた)表面と柔らかく水分が滴る内部は、しばしば嫌悪感を呼び起こすことがある」と話す(NYT)。

 同氏は、「嫌悪感は、生物学的要因と文化的要因が組み合わされた結果である」とする。これは主観によるものであり、全員が嫌いなものを見つけることは難しいという。それでも、「生のものや、本当に腐っているものは、ほとんどの人にとって嫌なもの」ということだ(同上)。

◆展示の目的
 また心理学者であるウェスト氏は、「嫌悪感の進化論的機能は、私たちが病気や危険な食べ物を避けるためにある」「嫌悪感は6つの基本的な人間の感情の1つである。感情は普遍的だが、私たちがうんざりする食べ物はそうではない。ある人にとって美味しいものが、ほかの人にとってはそうではない」と話す(豪ニュースサイト『news.com.au』)。

 実際、嫌悪感は時代とともに変わりえる。展示に取り組む研究者、レベッカ・リビング氏によると、「1600年代には、週に2回以上、(当時余るほどあった)ロブスターを囚人に食べさせることが非人道的だと考えられていた」という(NYT)。

 ウェスト氏は、「人々に、自分たちが気持ち悪いと感じるものに対して疑問を持ってほしい」と主張する(NYT)。「自国の食べ物の隣に、腐った魚であるが他国で珍味とされているものが並んでいるのを見る。自分が、何が気持ち悪いと考えているのかという発想が試されることになる」(BBC)。

 ウェスト氏は、人々がそれを理解したのちに、昆虫のような、よりサスティナブルなタンパク源を受け入れるようになることを望んでいる(同上)。
 
◆展示の反応
 展示に対する人々の反応はどうだろうか。NYTは、好きな食べ物やおやつが展示物に含まれていたのに愕然とした人々がいると伝えている。この博物館のニュースが発表されて以来、ソーシャルメディア上で多くの苦情が見受けられた。オーストラリア人はベジマイト(麦芽の発酵食品)が含まれていると怒っているし、アメリカ人はルートビアの展示にショックを受けている。

 オーストラリアからはベジマイトをはじめ3つの食品が選ばれた。news.com.auでは、シモーネ・ミッチェル記者が「ベジマイトとムスク・スティックス(芳香剤のような香りの菓子)が含まれていることは、オーストラリア人からの予測不可能なレベルの怒りで満たされている」と伝えた。記事の冒頭には、「スウェーデン人が、組み立て式の家具や安いミートボール以上のものを提供してくれることが分かった」「美しい人々の土地」と皮肉が並べられている。

 ウェスト氏は、「ベジマイトが大好きなので、博物館に並ぶのが悲しい」「(でもヘーゼルナッツチョコペーストの)ヌテラと間違えた人にとってはトラウマになるだろう」(豪ABC)としながらも、博物館はそこに並ぶものを嘲笑するつもりはなく、人々にジャッジしてもらうつもりではないと強調する。

 気持ち悪い食べ物博物館の入場料は185クローナ(約2,300円)で、展示は2019年1月27日まで。その後は、ドイツ、日本、中国、米国で展示される予定という。

Text by 鳴海汐

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