大坂なおみに同情 全米決勝でのセリーナの怒りをメディアはどう伝えたのか?

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 全米オープンテニスの女子シングルス決勝で、大坂なおみがセリーナ・ウィリアムズに勝利し、日本人史上初のグランドスラム優勝を成し遂げた。しかし試合自体は、審判の判定に不満を爆発させたセリーナが激しく抗議するシーンが何度も続き、後味の悪いものとなった。セリーナを支持する観客のブーイングは表彰式でも響き渡り、新女王の喜びの瞬間を台無しにしてしまったとメディアは報じている。

◆スーパースター、セリーナのプライド 審判の判定に噛みつく
 決勝戦に水を差したのは、セリーナとカルロス・ラモス主審のやり取りだ。ラモス主審は、スタンドにいたコーチのパトリック・ムラトグルー氏の手の動きを、禁止されたコーチングと判断し、セリーナに注意を与えた。これに対しセリーナは、「勝つために不正をするなんて絶対にない。負けた方がまし」と猛抗議した。その後怒りの収まらないセリーナはラケットを叩き壊したり主審に罵声を浴びせたりし、大きなペナルティを受けた。結局20歳の大坂にストレート負けを喫した。

 表彰式では、主審や主催者への不満から観衆のブーイングが鳴り響き、大坂はそれを避けるかのように被っていたサンバイザーを引き下ろした。落ち着きを取り戻したセリーナはブーイングを止めるよう観衆に呼びかけ、大坂の勝利を讃えた。大坂は、「みんながセリーナを応援していたのは知っています。こんな終わり方になってすみません」と涙を拭きながら言い、ファンに「試合を見てくれてありがとう」と小さくお辞儀をした。

Text by 山川 真智子