大坂なおみに同情 全米決勝でのセリーナの怒りをメディアはどう伝えたのか?

Julio Cortez / AP Photo

◆大会に泥を塗った? セリーナの癇癪に批判
 異例の展開となった決勝戦をメディアは大きく取り上げている。

 USAトゥデイ紙は、セリーナの癇癪は、これまでの名声を傷つけ、タイトルを逃すことにつながり、何よりもひどいことに、勝者大坂からスポットライトを奪ってしまったと述べる。表彰式ではセリーナは立ち直り大人の対応を見せたものの、すでに時遅しだったとし、どんな理由があったとしても、あのような態度は取るべきではなかったとしている。

 オーストラリアのニュースサイト『news.com.au』は、後味の悪い大会になったのは、すべてセリーナのせいだと批判する。審判に暴言を浴びせ、謝罪まで要求しており、彼女は自分が審判の判定を覆せる力があると思っていたのではないかいう、テニス・ジャーナリストのベン・ローゼンバーグ氏のコメントを紹介した。そしてこの騒動でもっとも悲しかったのは、表彰式で泣きながら頭を下げた大坂の姿だったとし、彼女の偉業には、常にこのエピソードが付いて回るだろうとした。

                                                                                                                 

◆ルールも問題? それでもセリーナの態度は許されない
 一方BBCは、審判、セリーナどちらの側にも一理あるとする、BBCテニスプレゼンターのスー・ベーカー氏の意見を紹介している。ラモス審判がルールに従ったことは正しいが、実は審判によって判断は異なると述べる。セリーナは審判に暴言を吐く男性プレーヤーに罰が与えられないとし、今回の事件は男女差別の一例だと抗議した。ベーカー氏は、確かにダブルスタンダードやルールが当てはめにくい点があるとし、ルール自体の見直しが必要だと述べている。

 さらにベーカー氏は、グランドスラム大会以外は、コートチェンジの際にコーチが選手と話すことが認められていることにも言及。個人的には反対だが、もし試合中のコーチングが原因で騒動になるのであれば、グレーゾーンを失くすためにも、コーチングを認めてはどうかと述べている。

 『スレート誌』も、コーチングに対するルールが明確でないことを問題視する。試合後にムラトグルー氏は、セリーナにサインを送ろうと試みたことを認めたが、実際のところほとんどのコーチがやっていると述べている。同誌は不明瞭なルールをありがちなケースに厳格に適応したラモス審判にも問題があると見るが、セリーナ自身が、最初の注意を受け入れたうえで試合を続け、注意を個人攻撃と受け止めなければこんな事件にはならなかったとも述べている。

 セリーナはアスリートのお手本となる偉大な選手であり、これまでも人種差別を受けても実力でトロフィーを積み上げることで、大坂のような有色人種の女性たちの希望の星となってきた。そんな彼女が女性の権利や平等を主張することは100%正しいとスレート誌は述べる。しかし、たとえラモス審判が間違っていたとしても、今回のセリーナの行動が正しかったとは言えないとし、両者とも責められるべきだとしている。

Text by 山川 真智子