『龍が如く6 命の詩。』米で発売 現地レビュー「グラとバトルは秀逸。だが……」

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◆ドラゴンエンジンの恩恵
 同タイトルは、シリーズでは初となるプレイステーション4独占タイトルとなっている。ハイスペックなゲームハードをフル活用するために、同タイトルからドラゴンエンジンと呼ばれるゲームエンジンが実装されている。同エンジンによりグラフィック描写が向上し、またバトルシステムもよりリアリティのあるものに一新された。

 このエンジンによる恩恵に関して、海外のゲームレビューはおおむね好意的である。ゲーム情報サイト「コタク」は「新キャラクターのアニメーションは、ゲームを緊密なものとしてより印象的な経験をもたらす」と評し、テック系ニュースサイト「アルス・テクニカ」は「ドラゴンエンジンは、バトル中の動作を素早く演算処理することで、より自由な動きを可能としている」と述べている。同じくテック系ニュースサイト「The Verge」も「ドラゴンエンジンは一連のアクションをより流動的にしている。バトルでは街路から建物へとなだれ込むことができるのだ」と好意的だ。

◆孤立した白鳥の歌
 グラフィックに賛辞が贈られる一方で、ストーリーテリングには辛口の評価が並ぶ。アルス・テクニカのレビューはその冒頭から「命の詩は期待したゲームではなかった」と切り捨てている。というのも、同タイトルは主人公である桐生一馬の長い歩みにおける「白鳥の歌(白鳥は死に際に歌を歌うという言い伝えから転じて最後の作品の意味)」であるにもかかわらず、「ほかのシリーズタイトルとは異なって屹立しており」「まったく自己完結してしまっている」と評している。コタクのレビューにおいても「Yakuza 6のメインストーリーはシリーズのハイライトではない」と言われ、「同シリーズから本タイトルに至るまでには、非常に細いラインしかないように思われる」とコメントしている。The Vergeもストーリーに関して「きわめて自己完結しており、それまでのシリーズタイトルに関する知識に依存していない」と指摘する。

 グラフィックでは高評価であるものも、ストーリーが不評であることが影響してコタクのレビューでは同シリーズのゲームとしては「ベストのものとは考えられない」とし、The Vergeも同ゲームを「シリーズのなかではプレイ時間が長くもなく、ベストなゲームでもない」と語っている。

Text by 吉本 幸記