ビットコインとイーサリアムが急落、その背景は? 規格問題次第でさらなる下落も

 ビットコインは仮想通貨の代表的な銘柄で、CoinMarketCapのデータによると、2016年の6月の時点でその流通シェアは70%以上に達していた。仮想通貨という言葉にぴんとこなくてもビットコインは聞いたことがある人も多いだろう。しかしその強さがここに来て揺らいでいる。同じデータで2017年の6月、ビットコインのシェアが40%ほどにまで低下したのだ。一方、伸びてきているのはイーサリアムという仮想通貨で30%以上にまでシェアを高めた。ブルームバーグ・ガドフライは一連の動きについてアプリケーションソフトでも主役は交代してきたことを例に、「M&Aのようなことが起きなくても変化はありうる」と述べている。

 そして7月を迎え、ビットコインの単独下落にとどまらず、時価総額2位でビットコイン分の資金を吸収したであろうイーサリアムの価格も急落した。仮想通貨になにが起きているのか。

◆仮想通貨のそもそもの成り立ちに注意
 仮想通貨は現在、時価総額でビットコイン、イーサリアム、ライトコイン、リップルでほぼ8割を占め、残り2割は750種類に上る無名の通貨が占めている(ブルームバーグ)。もともと銀行決済の手間と時間、そして手数料を避けるために特定の人たちの間でゲームの支払いや商取引で使えるようにした仮想のお金なのである。日本の大手銀行が自社ブランドのビットコインを投入し、国内のサービス業者でもビットコインによる支払いに対応するなど、ビジネス上での利便性が注目されることになったのは最近のことだ。

 一方、その用途の広がりから仮想通貨の取引価格が上昇し、投機目的での購入も増えた。上昇基調にあったとはいえ、過去に何度もビットコインの価格は乱高下している。企業の株式なら新製品の発表などで上昇し、不祥事の発覚で下降するというある程度の基準がある。毎年決算も発表され、事業の将来性や課題について分析することもできる。しかし仮想通貨にはそのような投資尺度がない。過去にはハッカーなどの攻撃で取引所が閉鎖したことが急落を招いたこともあり、予見できないことも多いのだ。

◆今回の下降の理由
 フォーチュン誌では、先週末にはビットコインが最高値から38%下落して1,863ドルになり、イーサリアムも67%下降し133ドルになったと伝えている。二大仮想通貨の急落により仮想通貨の時価総額は12兆8,800億円(1150億ドル)から6兆8,800億円(610億ドル)にひと月で縮小したと伝えている。このところの投機の動きから適正価格に是正されたとみることもできるが、単一の理由だけでは説明は難しいとしている。

 そのひとつに、ビットコイン陣営の創設者たちの間での問題とでもいうべき、仮想通貨の運営にとって重要なプロトコル(コンピュータ間の通信手順や規約)の見直しについての綱引きを挙げている。7月中に解決の目途が見えてこなければ、仮想通貨のいく種類かを巻き込んだ新たな下落もありうると注意を呼びかけている。

 さらにこのプロトコル問題が長引くと取引停止に動く取引所もありえるとも報じていたが、事実、18日にJCBA(日本仮想通貨事業者協会)は各取引所でビットコインの取引を8月1日から一時停止すると発表した。売り買いの混乱を避けるためと思われるが、期間は未定としている。過去にも大きな価格の変動があった仮想通貨だけに、このような動きは今後もありえ、「投資する側としては心が落ち着けない対象である」(フォーチュン誌)。

◆しかし仮想通貨の将来性に変わりはない
 エコノミスト誌ではビットコインの価格の動きについて「バブル」という言葉を用いて解説しているが、ビットコインをはじめとした仮想通貨の存在価値は、他の通貨などとの換金性の高さであるとし、その利用価値は将来も変わらないとしている。それぞれのトピックも、新たなイノベーションを生む機会であるとまで述べている。

 今回のビットコインなど主要な仮想通貨の下落の先行きは予測のつきづらいものだが、大きな変動を生みながらもその利用用途は着実に広がっているのは確かだ。投機目的とする場合、ネットワークやコンピューターの世界であり、そもそも特定の人たちの間で金銭の代わりに使われるようになったというその誕生経緯を考えれば、なにが起きても文句は言えないだろう。そして社会や産業の中に通貨の代わりとして使われる比重が高まるにつれ、規格や制度も安定していくと考えることができるのではないだろうか。

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Text by 沢葦夫